医者の不養生

ことわざ 慣用句
医者の不養生(いしゃのふようじょう)

10文字の言葉」から始まる言葉
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意味・教訓

「医者の不養生」とは、医者が自分の健康には無頓着で、不健康な生活を送っていることを指すことわざです。
転じて、他人に立派なことを教えたり指導したりする人が、自分ではそれを実行していないことのたとえとして使われます。
この言葉は、言行一致の難しさや、人間は誰しも欠点を持つ存在であることを示唆しています。

語源・由来

医者は、病気の治療や健康に関する専門知識を持つため、健康的な生活を送っているはずだという一般的なイメージがあります。
しかし、実際には、激務やストレスなどから、不規則な生活や不摂生をしがちな医者も少なくありません。
この言葉は、そうした医者の実情と、人々が抱く理想とのギャップを皮肉ったものです。
具体的な起源は不明ですが、江戸時代には既に使われていたようです。

使用上の注意点

この言葉は、医者に対してだけでなく、広く一般的に、他人には立派なことを言いながら自分では実践しない人に対して使われます。
ただし、相手を非難したり、揶揄したりするニュアンスを含むため、使う場面や相手には注意が必要です。
特に、医療従事者に対して使う場合は、失礼にあたる可能性があるので、慎重に使う必要があります。

使用される場面と例文

「医者の不養生」は、専門家や指導的立場にある人が、自分の専門分野や指導内容について、自分自身では実践できていない場合に、皮肉や批判を込めて使われます。

例文

  • 「いつも健康について講釈している先生が、実はタバコを吸っているなんて、医者の不養生だね。」
  • 「ダイエットを勧めている本人が、実は太っているなんて、医者の不養生もいいところだ。」
  • 「部下には残業するなと言う上司が、自分は毎日深夜まで仕事をしている。医者の不養生とはこのことだ。」
  • 医者の不養生と言うけれど、忙しい中で自分の健康を維持するのは、本当に難しいんだよ。」

類義語

  • 紺屋の白袴:染物屋が自分の袴は染めず、白いまま履いていること。他人のことに忙しくて、自分のことに手が回らないことのたとえ。
  • 坊主の不信心:僧侶が、仏教の教えを説きながら、自分では信仰心が薄いこと。
  • 論語読みの論語知らず:論語を読んでいても、その教えを理解していない、または実践していないこと。

関連語

  • 言行不一致(げんこうふいっち):言っていることと、行っていることが一致しないこと。
  • 矛盾:つじつまが合わないこと。

対義語

  • 言行一致(げんこういっち):言っていることと行動が一致していること。
  • 有言実行:言ったことを実行すること。

英語表現(類似の表現)

  • The shoemaker’s children always go barefoot.
    直訳:靴屋の子供はいつも裸足で歩く。
    意味:他人のために仕事をする人は、自分のことがおろそかになりがちである。
  • Do as I say, not as I do.
    直訳:私が言うようにしなさい、私がするようにではなく。
    意味:人に教えることと、自分が実践することは別である。
  • Physician, heal thyself.
    直訳:医者よ、自分自身を癒せ。
    意味:他人を批判する前に、まず自分の欠点を直すべきだ。

まとめ

「医者の不養生」は、人に立派なことを教えながら、自分ではそれを実行しないことを皮肉ったことわざです。
この言葉は、言行一致の難しさや、人間は誰しも欠点を持つ存在であることを示唆しています。
このことわざは、相手を非難する意味合いを含むため、使用する際は注意が必要です。
しかし、自分自身を振り返り、言動を見直すきっかけとなる言葉でもあります。

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