「トカゲの尻尾切り」の意味・語源・由来
意味
トカゲが外敵に襲われた際に、自ら尻尾を切り離して逃げる習性から転じた言葉です。
組織や集団が、不祥事や問題の責任を、上位の者が下位の者に押し付け、自らは責任逃れをすることを指します。
「スケープゴート」を作る行為と似ています。
主に、組織ぐるみ、上の隠蔽体質を批判、非難する文脈で使用されます。
語源・由来
トカゲは、敵に捕まりそうになると、自ら尻尾を切り離し、敵の注意をそちらに向けている間に逃げます。
切られた尻尾はしばらくの間、動き続けるため、捕食者の目を欺く効果があります。
この習性が、組織防衛のために、上層部が下位の者に責任を転嫁し、自身は生き残ろうとする様子に例えられるようになりました。
「トカゲの尻尾切り」の使い方(例文)
- 「不祥事の責任を部下に押し付けるなんて、典型的なトカゲの尻尾切りだ。」
- 「社長は責任を認めず、役員を辞任させることで、トカゲの尻尾切りを図った。」
- 「トカゲの尻尾切りで、問題の根本的な解決にはならない。」
- 「彼は、上司の不正を告発したが、逆にトカゲの尻尾切りに遭ってしまった。」
- 「今回の事件は、組織的な隠蔽とトカゲの尻尾切りが行われた疑いがある。」
注意! 間違った使い方
- 「彼は勇敢にも敵に立ち向かい、トカゲの尻尾切りのように逃げ出した。」(✕ 誤用)
※トカゲの尻尾切りは、「責任転嫁」の意味合いが強い言葉です。単に逃げる行為を表す場合には不適切です。
「トカゲの尻尾切り」の類義語
- スケープゴート: 他人の罪や責任を負わされる人、身代わり。
- 生贄(いけにえ): ある目的のために犠牲にされるもの。
- 身代わり: 他人の代わりに責任や罰を受けること。
- 責任転嫁: 自分の責任を他人に押し付けること。
「トカゲの尻尾切り」の対義語
- 引責辞任:不祥事などの責任を取って、自ら職を辞すること。
- 一身に責任を負う: 自分だけで全ての責任を引き受けること。
使用上の注意点
「トカゲの尻尾切り」は、非常に強い非難のニュアンスを含む言葉です。
軽々しく使うと、相手を強く非難することになるので注意しましょう。
「トカゲの尻尾切り」に類似した英語表現
pass the buck
意味: 責任を転嫁する。
例文:
He always tries to pass the buck when something goes wrong.
(彼は何か問題が起こると、いつも責任転嫁しようとする。)
throw someone under the bus
意味: (自分の身を守るために)他人を犠牲にする、裏切る。
例文:
He threw his colleague under the bus to save his own job.
(彼は自分の仕事を守るために、同僚を犠牲にした。)
make someone a scapegoat
意味: ~をスケープゴートにする、~に責任を負わせる。
例文:
The manager was made a scapegoat for the company’s failures.
(そのマネージャーは、会社の失敗の責任を負わされた。)
まとめ
「トカゲの尻尾切り」は、組織などが不祥事の責任を下位の者に押し付け、上位の者が責任逃れをすることを指す慣用句です。
強い非難のニュアンスを持つため、使用には注意が必要です。類義語や英語表現と合わせて、文脈に応じて使い分けましょう。
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