「江戸のかたきを長崎で討つ」の意味・語源・由来
意味
江戸で受けた恨みを、全く関係のない長崎で晴らすこと。
転じて、意外な場所や、筋違いの方法で仕返しをすること。
または、見当違いのことで腹いせをすることのたとえです。
語源・由来
このことわざの由来には諸説あります。
有力な説は、江戸時代、長崎が貿易港として栄えていたことにちなむというものです。
当時、江戸で揉め事を起こした人が、長崎に行って商売で成功したり、遊興にふけったりして憂さを晴らしたという話や、江戸の商人が長崎の商人に恨みを抱き、その腹いせに全く関係のない長崎の人に八つ当たりした、などのエピソードが元になっているとされています。
また、江戸で起きた事件の犯人が、遠く離れた長崎で捕まったことが由来とする説もあります。
「江戸のかたきを長崎で討つ」の使い方(例文)
- 「彼は部署の業績不振のいら立ちを、家族にぶつけている。まさに江戸のかたきを長崎で討つようなものだ」
- 「A社の製品に欠陥があったのに、なぜかB社の株価が下落した。江戸のかたきを長崎で討つような話だ」
- 「昨日、上司に叱られた腹いせに、部下を厳しく叱責するのは、江戸のかたきを長崎で討つ行為だ」
- 「試合に負けた腹いせに、関係のない物に八つ当たりするのは、江戸のかたきを長崎で討つようなものだよ」
「江戸のかたきを長崎で討つ」の類義語
- 八つ当たり:腹を立てて、関係のない人に当たり散らすこと。
- 見当違い:見込みや推測が、事実と違っていること。的外れ。
「江戸のかたきを長崎で討つ」の対義語
このことわざに明確に対をなす表現はありませんが、あえて挙げるならば、以下のようになります。
- 因果応報(いんがおうほう):原因と結果には対応関係があり、良い行いには良い報い、悪い行いには悪い報いがあるという考え方。
直接的な行為とその報いが一致するという意味で対義語と捉えられます。
使用上の注意点
「江戸のかたきを長崎で討つ」は、本来の意味から転じて、見当違いなことで腹いせをしたり、関係のない人にやつあたりをしたりする場合に使われます。
基本的に良い意味では使用されません。
「江戸のかたきを長崎で討つ」に類似した英語表現
Revenge is a dish best served cold.
直訳:復讐は冷めた料理が一番だ
意味:復讐は時間をかけて、冷静に行うのが良い。
例文:
He bided his time and finally got his revenge. They say revenge is a dish best served cold.
(彼は時を待ち、ついに復讐を果たした。復讐は冷めた料理が一番だと言う。)
get even (with someone)
意味:(~に)仕返しをする、報復する、借りを返す
例文:
He vowed to get even with the people who had betrayed him.
(彼は自分を裏切った人々に仕返しをすることを誓った。)
「Revenge is a dish best served cold」は時間をかけて復讐するというニュアンスを含みます。
直接的に「場所違いの復讐」を意味合いとは少し異なりますが、時間をかけて全く関係のない形で復讐するという意味では類似しています。
「get even (with someone)」は直接的な仕返しをすることを指すので、「江戸のかたきを長崎で討つ」とは少し異なります。
しかし、報復するという意味では共通しています。
まとめ
「江戸のかたきを長崎で討つ」は、見当違いな場所や方法で仕返しをすること、または関係のない人に八つ当たりをすることのたとえです。
ビジネスシーンや日常会話でも、相手の言動を批判する際に使われることがあります。
しかし、本来の意味とは異なる文脈で使われていることも多いので、注意が必要です。
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