「逆鱗に触れる」の意味・語源・由来
意味
「逆鱗」とは、竜のあごの下にある逆さに生えた鱗のことです。
竜は普段は温厚ですが、この逆鱗に触れられると激怒すると言われています。
このことから、「逆鱗に触れる」は、目上の人の激しい怒りを買ってしまうことを意味します。
単なる怒りではなく、立場が上の者や、普段は穏やかな人の、非常に強い怒りを引き起こしてしまう状況で使われます。
語源・由来
この言葉は、中国の思想家・韓非(かんぴ)が著した『韓非子(かんぴし)』の「説難(ぜいなん)」という章に由来します。
「竜は普段はおとなしいが、喉の下にある『逆鱗』に触れると激しく怒り、人を殺してしまう」
という内容が記されており、ここから「逆鱗に触れる」という表現が生まれました。
「逆鱗に触れる」の使い方(例文)
- 「社長の企画案を批判したことで、彼の逆鱗に触れてしまった。」
- 「不用意な発言が、上司の逆鱗に触れたようだ。」
- 「彼女は普段は優しいが、一度逆鱗に触れると手がつけられない。」
- 「その話題は、彼の逆鱗に触れる可能性があるので、避けた方がいい。」
- 「クライアントの逆鱗に触れないように、細心の注意を払って対応した。」
注意! 間違った使い方
- 「友達と喧嘩して、彼の逆鱗に触れてしまった。」(✕ 誤用)
※「逆鱗に触れる」は、目上の人に対して使う言葉なので、対等な関係や目下の人に使うのは不適切です。
例えば、友達同士の喧嘩や子どもが怒った場合には使わず、単に『怒らせた』『機嫌を損ねた』などと言う方が自然です。」 - 逆鱗は、「ぎゃくりん」ではなく「げきりん」。
「逆鱗に触れる」の類義語
- 虎の尾を踏む: 非常に危険なことをする、恐ろしい人の怒りを買うこと。
- 地雷を踏む: 相手が最も嫌がることを言ったり、したりすること。
- 怒りを買う: 相手を怒らせてしまうこと。
- 不興を買う: 目上の人の気に入らないことをして、嫌われること。
「逆鱗に触れる」の対義語
- 大目に見る:相手の失敗や非礼を許すこと
- 寛容に接する:厳しく怒るのではなく、広い心で対応すること
- 機嫌を取る: 相手の気持ちを良くしようとすること。
- ご機嫌伺い: 目上の人の機嫌を損ねないように様子を伺うこと。
- 歓心を買う:人の気に入るように振る舞い、喜ばれるようにすること
使用上の注意点
「逆鱗に触れる」は、非常に強い怒りを表す言葉です。
軽い気持ちで使ったり、冗談めかして使うのは避けましょう。
目上の人に対して使う言葉なので、使用する相手や状況には注意が必要です。
「逆鱗に触れる」に類似した英語表現
Incurring someone’s wrath
意味: 誰かの怒りを買う
例文:
He incurred the CEO’s wrath by questioning his decision.
(彼はCEOの決定に異を唱えたことで、その怒りを買った。)
rub someone the wrong way
意味: 人を怒らせる、いらだたせる。
(意図せず怒らせてしまうニュアンス)
例文:
I didn’t mean to rub him the wrong way, but he got really angry.
(彼を怒らせるつもりはなかったのだが、彼はとても怒ってしまった。)
Invoke the king’s fury
直訳: 王の怒りを買う
意味: 目上の人の怒りを買う
例文:
Speaking out of turn in front of the boss is like invoking the king’s fury.
(上司の前で不用意に発言するのは、王の怒りを買うようなものだ。)
まとめ
「逆鱗に触れる」は、目上の人の激しい怒りを買うことを意味する慣用句で、『韓非子』の故事に由来します。
特にビジネスシーンでの注意が必要です。
適切な類義語・対義語・英語表現を使い分けて、効果的に活用しましょう。
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