「まな板の上の鯉」の意味・語源・由来
意味
まな板の上に置かれた鯉は、料理されるのを待つしかない状態です。
そこから転じて、相手のなすがまま、どうすることもできない状況や、覚悟を決めた様子を表すことわざとして使われます。
もうすぐ、そこから逃れられない、悪い結果が訪れることが避けられない状況を指す場合が多いです。
語源・由来
このことわざは、文字通りまな板の上に置かれた鯉の様子から来ています。
鯉は、水から上げられまな板に乗せられると、抵抗することも逃げることもできません。
あとは包丁で調理されるのを待つばかりです。
この様子が、どうにもならない状況、運命を受け入れるしかない状況の比喩として用いられるようになりました。
「まな板の上の鯉」の使い方(例文)
- 「彼は完全に包囲され、もはやまな板の上の鯉だ。」
- 「交渉は決裂し、我々はまな板の上の鯉同然だ。」
- 「試験の結果を待つ間、まるでまな板の上の鯉のような心境だった。」
- 「観念して、まな板の上の鯉になるしかない。」
注意! 間違った使い方
- 「彼は元気ハツラツ、まるでまな板の上の鯉のようだ。」(✕ 誤用)
※「まな板の上の鯉」は、追い詰められ、抵抗できない状態を指すため、元気な様子を表すのには不適切です。
「まな板の上の鯉」の類義語
- 袋の鼠:袋の中に入れられたネズミ。逃げ場のない状態のたとえ。
- 網にかかった魚: 網にかかってしまい、逃げられない魚。
- 俎上の魚(そじょうのうお):まな板の上の魚。同じ意味で使われる。
- 絶体絶命:どうにも逃れようのない、追い詰められた状態。
- 万事休す:もはや手の打ちようがない状態。
「まな板の上の鯉」の対義語
使用上の注意点
「まな板の上の鯉」は、非常に強い無力感や絶望感を伴う状況を表すことわざです。
軽い気持ちで使ったり、相手を励ますために使うのは避けましょう。
「まな板の上の鯉」に類似した英語表現
be like a fish out of water
直訳:水から出た魚
意味:場違いな状況、慣れない環境で困惑している様子。(直接的な「まな板の上の鯉」とは少し意味が異なる)
例文:
He felt like a fish out of water at the party.
(彼はパーティーで場違いな感じがした。)
be (like) a sitting duck
意味:格好の標的、無防備な状態
例文:
Without any air cover, the troops were sitting ducks.
(航空支援がなければ、部隊は格好の標的だった。)
have one’s back against the wall
意味: 追い詰められている、窮地に立たされている。
例文:
With the deadline approaching and no solution in sight, he had his back against the wall.
(締め切りが迫り、解決策も見えず、彼は窮地に立たされていた。)
まとめ
「まな板の上の鯉」は、どうすることもできない状況、運命を受け入れるしかない状況を表すことわざです。
類義語や対義語、英語表現と合わせて、文脈の中で正しく使いこなせるようにしましょう。
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