先見の明

故事成語 四字熟語
先見の明(せんけんのめい)

7文字の言葉せ・ぜ」から始まる言葉
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意味と教訓 – 未来を見通す力

「先見の明」とは、物事が起こる前に、その成り行きや結果を正確に見抜く賢さや判断力のことです。

将来どうなるかを的確に予測し、それに基づいて行動できる優れた見識を指します。

この言葉からは、目先の状況だけでなく、将来の変化を読み取り、備えることの重要性という教訓が得られます。
変化の激しい現代社会において、特にビジネスや個人のキャリア形成などで重視される能力と言えるでしょう。

語源・由来 – 中国の故事から

「先見の明」の語源は、中国の歴史書『後漢書(ごかんじょ)』にある故事に由来するとされています。

後漢末の政治家であった楊彪(ようひょう)が、友人の息子たちの非凡な才能を見抜き、自身の息子である楊修(ようしゅう)に語った言葉に由来します。
楊彪は、かつて前漢の武帝に仕え、謀反を未然に防いだ匈奴(きょうど)出身の忠臣・金日磾(きんじつてい)を引き合いに出し、「私には金日磾のような先見の明がないのが恥ずかしい」と言ったと伝えられています。

この金日磾の、物事の本質や将来の危険を鋭く見抜く力を「先見の明」と称えたことから、この言葉が使われるようになりました。

使われる場面と例文 – どんな時に使う?

「先見の明」は、将来を見据えた的確な判断や行動が功を奏した場合や、そのような優れた判断力を持つ人を称賛する際に使われます。

ビジネスにおける経営戦略、投資判断、技術開発の方向性、あるいは個人の進路選択など、未来を見通す力が求められる様々な場面で用いられる表現です。

例文

  • 「当時、誰も注目していなかったこの技術に投資した社長には、先見の明があった。」
  • 「彼の先見の明のおかげで、わが社は危機を乗り越えることができた。」
  • 「SNSが普及することを見越して早くから活用していたのは、まさに先見の明と言えるだろう。」
  • 「あの時、先生がアドバイスしてくれた進路は、今思えば先見の明があったと感じる。」

類義語 – 本質を見抜く様々な力

  • 洞察力(どうさつりょく):物事の本質や隠れた意味を見抜く力のこと。「先見の明」が特に未来予測に焦点を当てるのに対し、「洞察力」は現状分析や本質理解にも使われます。
  • 慧眼(けいがん):物事の本質を鋭く見抜く眼力、優れた判断力を意味します。「炯眼(けいがん)」もほぼ同じ意味です。
  • 見識(けんしき):物事に対して深く、優れた判断を下す能力のこと。知識や経験に裏打ちされた、確かな考え方を指す場合が多いです。
  • 予見(よけん):これから起ころうとすることを、前もって知ること、見通すこと。「先見の明」と非常に近い意味で使われます。

対義語 – 目先のことに囚われる言葉

  • 後知恵(あとぢえ):物事が終わってから、ああすればよかった、こうすればよかったと考えること。
    ※ 未来を見通せず、結果を見てから判断する点で対照的です。
  • 近視眼的(きんしがんてき):目先の利益や状況にとらわれ、長期的・大局的な視点が欠けているさま。
    ※ 将来を見通す「先見の明」とは逆の状態です。
  • 場当たり的:しっかりとした計画がなく、その場その場の状況に合わせて行動するさま。
  • 一寸先は闇:ほんの少し先のことも予測できない、という意味のことわざ。
    ※ 未来の予測不可能性を示す点で、「先見の明」とは対照的な考え方です。

英語での類似表現 – foresight or vision?

英語にも「先見の明」に似た表現があります。
文脈によって使い分けられます。

  • foresight
    意味:先見、将来を見通す力、洞察力。計画性や準備といったニュアンスを含むことがあります。
    (例:He had the foresight to buy the land before it became valuable. / 彼はその土地が値上がりする前に買う先見の明があった。)
  • vision
    意味:先見の明、洞察力、未来像。特に、将来に対する明確な構想や理想像を指す場合に用いられます。
    (例:a leader with vision / 先見の明のある指導者)
  • prescience
    意味:予知、先見。起こる出来事を事前に知る能力、という少し神秘的なニュアンスを含むこともあります。

使用上の注意点 – 使うときに気をつけたいこと

「先見の明」は、人を褒める際に使うことが多い言葉ですが、いくつか注意したい点があります。

まず、物事が成功した「後」になってから、「あの人には先見の明があった」と言うのは簡単ですが、安易に使いすぎると単なる「結果論」に聞こえてしまう可能性があります。

また、失敗した人やうまくいかなかった状況に対して、「先見の明がなかった」と批判的に使うのは、相手を不必要に傷つけたり、傲慢な印象を与えたりする可能性があるため、避けた方が賢明でしょう。
自分で自分のことを「私には先見の明がある」と自慢げに語るのも、あまり好ましい使い方ではありません。

まとめ – 先見の明を養うために

「先見の明」は、未来を正確に見通し、的確な判断を下すための優れた見識や判断力を指す言葉です。
中国の故事に由来し、現代でもビジネスや人生の様々な場面で重要視される能力です。

この「先見の明」は、単なる勘や偶然ではなく、深い知識、幅広い経験、そして物事の本質を見抜こうとする洞察力によって培われるものと言えるでしょう。
常に情報を収集し、多角的な視点から物事を考え、将来の変化を予測しようと努めることが、「先見の明」を養う第一歩なのかもしれません。

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