意味・使い方 – 鋭い観察眼の表現
「鵜の目鷹の目」とは、何かを熱心に探し出そうとする鋭い目つきや、真剣に注意深く探す様子を表すことわざです。
鵜(う)が水中の魚を、鷹(たか)が空から地上の獲物を狙う際の、集中した鋭い眼差しが由来となっています。
転じて、一点を集中して見つめ、何かを見つけ出そう、あるいは見逃すまいとする様子を指すようになりました。
語源・由来 – 鵜と鷹の狩りの様子から
このことわざの語源は、文字通り鵜と鷹が獲物を捕らえるときの鋭い目にあります。
鵜は水に潜り、巧みに魚を捕らえます。
その際、水中の獲物を見定める目は非常に鋭敏です。
一方、鷹は上空から地上を見渡し、小さな獲物も見逃さない優れた視力を持っています。
これら二つの鳥が狩りをする際の、獲物を見据える真剣で鋭い目つきを借りて、「鵜の目鷹の目」という表現が生まれました。
何かを探し求める際の必死さや集中力の高さを、これらの鳥たちの姿に重ね合わせた比喩表現と言えるでしょう。
正確な初出は定かではありませんが、古くから狩りにおける鳥たちの鋭い観察眼が人々の印象に残っていたことがうかがえます。
使用される場面と例文
「鵜の目鷹の目」は、主に何かを一生懸命探している状況で使われます。
掘り出し物を見つけようと商品を吟味する場面や、失くしたものを見つけ出そうと必死になっている場面などが典型的です。
また、比喩的に、人の欠点や誤りなどを躍起になって探そうとする様子を指して使われることもあります。
例文
- 「古本市で、彼は鵜の目鷹の目で掘り出し物を探していた。」
- 「会計書類のミスを見つけようと、経理担当者は鵜の目鷹の目で数字をチェックした。」
- 「なくした鍵を見つけるために、部屋中を鵜の目鷹の目で探しまわった。」
- 「批評家は鵜の目鷹の目になって、新作映画の欠点を探していた。」
類義語
「鵜の目鷹の目」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 血眼になる(ちまなこになる):目的を達成しようと、目を充血させるほど必死になる様子。特に、何かを探し求める際に使われます。
- 目を皿にする(めをさらにする):目を大きく見開いて、注意深く物事を見る様子。驚きや、何かを熱心に探すさまを表します。
- 穴のあくほど見つめる:非常に熱心に、集中して見つめる様子。
- 物色(ぶっしょく):多くのものの中から、目的のものを探し出すこと。
対義語
「鵜の目鷹の目」とは反対に、注意力が散漫であったり、ぼんやりしていたりする様子を表す言葉です。
- 上の空(うわのそら):他のことに心が奪われて、目の前のことに集中していない状態。
- 漫然(まんぜん):はっきりした目的や意識がなく、ただぼんやりとしている様子。
- 注意力散漫(ちゅういりょくさんまん):注意力が一点に集中せず、あちこちにそれてしまうこと。
英語での類似表現 – 鋭い視線の表現
英語で「鵜の目鷹の目」に近いニュアンスを持つ表現には、以下のようなものがあります。
鳥の鋭い視力になぞらえた表現が多い点は、日本語と共通しています。
- with eagle eyes
意味:ワシのような鋭い目で、非常に注意深く。 - hawk-eyed
意味:タカのような鋭い目をした、目の鋭い、油断のない。 - keep a sharp eye out for something
意味:~に鋭い注意を払う、~を注意深く見張る。
使用上の注意点
「鵜の目鷹の目」は、基本的には何かを熱心に探すポジティブな文脈で使われます。
しかし、例文にもあるように、「人の欠点や粗を探す」といった、ややネガティブなニュアンスで用いられることもあります。
そのため、状況によっては相手にあまり良くない印象を与えてしまう可能性も考慮すると良いでしょう。
文脈によって意味合いが変わる点に注意が必要です。
まとめ
「鵜の目鷹の目」は、鵜や鷹が獲物を狙う鋭い目つきから転じて、何かを熱心に探し求めたり、注意深く観察したりする様子を表すことわざです。
物を探す場面だけでなく、比喩的に人の誤りなどを指摘しようと躍起になる様子にも使われます。
類義語には「血眼になる」「目を皿にする」、対義語には「上の空」「漫然」などがあります。
英語では “with eagle eyes” や “hawk-eyed” など、やはり鳥の鋭い視力を用いた表現が見られます。
使う場面によってはネガティブな印象を与える可能性もあるため、文脈を考慮して用いることが大切です。
コメント