人生には、思い切って大きなリスクを取らなければ、望む結果が得られない局面がありますよね。あるいは、一か八かの状況に身を置かざるを得ない時もあるかもしれません。
そんな時、私たちの心を映し出したり、状況を的確に言い表したりする「ことわざ」「慣用句」「四字熟語・故事成語」があります。これらは、挑戦への勇気を与えてくれる一方で、その裏にある危険性も示唆しています。
この記事では、そんな「ハイリスク・ハイリターン」なニュアンスを持つ言葉を集めました。それぞれの言葉が持つ意味合いや、使う上でのヒントなどを簡潔にご紹介します。
大きな決断を控えている方、新しい挑戦への意欲を高めたい方、あるいは言葉の表現力を豊かにしたいと考えている方にとって、何かの参考になれば幸いです。
ことわざ
日常会話でも使われることわざの中にも、挑戦と危険を示唆するものが多くあります。
- 虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず)
意味:危険な場所に足を踏み入れなければ、大きな成果や宝物は手に入らないこと。
使い方:大きな成果にはリスクが伴うことを示す際に。挑戦を促しますが、無謀さを戒める視点も必要です。 - 当たって砕けろ(あたってくだけろ)
意味:成功するか失敗するかわからなくても、結果を恐れずに思い切って行動してみること。
使い方:結果を恐れず行動を促す際に。積極性を示す反面、無計画さと捉えられることもあります。 - 清水の舞台から飛び降りる(きよみずのぶたいからとびおりる)
意味:重大な決意をして、思い切って大きなことを実行することのたとえ。
使い方:重大な決意や大きな行動の例えに。後戻りできない強い覚悟を示しますが、切迫感も伴います。
慣用句
比喩的な表現で、ハイリスク・ハイリターンな状況を描写する慣用句を見ていきましょう。
- 火中の栗を拾う(かちゅうのくりをひろう)
意味:自分の利益にならないのに、他人のために危険を冒すこと。
使い方:他人のために危険を冒す、割に合わない状況で。勇敢さとも取れますが、多くは否定的なニュアンスです。 - 伸るか反るか(のるかそるか)
意味:結果が成功(伸る)か失敗(反る)か、どちらかになるか分からない、一か八かの状況で物事を行うこと。
使い方:結果が極端に分かれる大きな賭けに出る際に。成功保証のない、一か八かの状況を示します。 - 賽は投げられた(さいはなげられた)
意味:事はすでに始まっており、もはや後戻りはできない、という意味。
使い方:行動を開始し後戻りできない覚悟を示す際に。強い決意表明ですが、退路を断つ危うさも。
四字熟語・故事成語
漢字四文字や、歴史的な出来事・物語に由来する言葉にも、挑戦と覚悟を示すものが多くあります。
- 一攫千金(いっかくせんきん)
意味:一度に、たやすく巨額の利益を得ること。「攫」はわしづかみにする意味。
使い方:一度で大金を得ようとする夢や野心を示す際に。安易さやギャンブルのような危うさも伴います。 - 乾坤一擲(けんこんいってき)
意味:運命をかけて、のるかそるかの大勝負をすること。「乾坤」は天と地、「一擲」はサイコロを投げること。
使い方:運命を賭けた大勝負、起死回生を狙う際に。決死の覚悟を示す力強い言葉ですが、失敗時の損失も示唆します。 - 起死回生(きしかいせい)
意味:死にかかっている状態から生き返らせること。転じて、絶望的な状況から一気に勢いを盛り返すこと。
使い方:絶望的な状況からの劇的な逆転・復活を表す際に。諦めない強さを示す一方、現実味に欠ける場合も。 - 背水の陣(はいすいのじん)
意味:川や海などを背にして陣を敷き、退却できない状況で決死の覚悟で戦うこと。(※韓信の故事に由来)
使い方:決死の覚悟で物事に臨む際に。退路を断つ強さを示しますが、「失敗=破滅」のリスクも意味します。 - 破天荒(はてんこう)
意味:今までに誰も成し遂げなかったことを初めて行うこと。また、そのさま。(※本来は中国の故事に由来)
使い方:前人未到のことや型破りな行動を指す際に。革新性を示す一方、奇抜すぎると理解されにくい面も。
まとめ
今回ご紹介した言葉たちは、どれも状況を打開しようとする強い意志や覚悟、大きな成果への期待を感じさせる力を持っています。聞く人の心を奮い立たせたり、場の雰囲気を引き締めたりする効果もあるでしょう。
しかしその一方で、これらの言葉が表す状況には、常に大きなリスクや危険性が伴うことを忘れてはいけません。
これらの言葉を使う際には、その場の状況や相手をよく考え、言葉の持つ重みやニュアンスが正しく伝わるように配慮することが大切です。
単なる勢いだけでなく、リスクを理解した上での「覚悟」を示す言葉として、効果的に使っていきたいものですね。
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