「誠心誠意」とは? – 意味と心がけ
「誠心誠意」とは、少しも嘘やごまかしがなく、心の底から正直で真面目な気持ちを持っていること、また、その気持ちで物事に取り組む態度を表す四字熟語です。
相手のため、あるいは自身の目標達成のために、私利私欲を交えず、純粋な真心をもって接する姿勢そのものを指します。
単に「真面目」というだけでなく、「誠」という字が二度使われていることからもわかるように、この言葉には「この上なく正直で純粋な心」という強い意味合いが込められています。
人との信頼関係を築く上でも、目標を達成するためにも、この「誠心誠意」の心がけは非常に大切と言えるでしょう。
言葉の成り立ち – 「誠」を重ねる意味
「誠心誠意」は、「誠心」と「誠意」という、よく似た意味を持つ二つの言葉を組み合わせることで、その意味を強調しています。
- 誠心(せいしん):うそ偽りのない心。まごころ。
- 誠意(せいい):真心。真面目な気持ち。
どちらの言葉にも含まれる「誠」という字は、「言」と「成」から成り立ち、「言ったことを成し遂げる」、つまり「言行一致」を表すとされています。
ここから転じて、「まこと」「いつわりのない心」という意味を持つようになりました。
「誠心」も「誠意」も、どちらも真心や真面目な気持ちを意味しますが、これらを重ねることで、「一点の曇りもない、純粋で真剣な心」という強い気持ちが表現されています。
特定の古典に明確な出典があるわけではありませんが、「誠」を尊ぶ東洋の伝統的な思想の中で育まれてきた言葉と考えられます。
使われる場面と例文
「誠心誠意」は、ビジネスシーンから日常生活まで、様々な場面で使われます。
特に、相手に謝罪する時、何かを強くお願いする時、あるいは自身の決意や物事への真剣な取り組み姿勢を示す時に効果的です。
ただし、言葉だけでなく、実際の行動が伴ってこそ、その真価が伝わる言葉でもあります。
例文
- 「この度の不手際、誠心誠意お詫び申し上げます。」
- 「お客様にご満足いただけるよう、誠心誠意努めてまいります。」
- 「皆様のご期待に応えるべく、誠心誠意取り組む所存です。」
- 「彼の誠心誠意ある対応に、心を打たれた。」
類義語 – 真心を込める様々な表現
「誠心誠意」と似た意味を持つ言葉はいくつかありますが、それぞれ少しずつニュアンスが異なります。
- 真摯(しんし):真面目で熱心なさま。物事に対するひたむきな態度を強調します。
- 一意専心(いちいせんしん):他に心を動かさず、一つのことだけに心を集中させること。目標達成への集中力を表します。
- 一心不乱(いっしんふらん):心を一つのことに集中して、他のことに気を取られないさま。「一意専心」とほぼ同義です。
- 真心込めて(まごころこめて):言葉の通り、真心を行動に込める様子を表す表現です。
対義語 – うわべだけの心
「誠心誠意」とは反対に、心がこもっていない、うわべだけの様子を表す言葉もあります。
- 不誠実(ふせいじつ):真心がないこと。約束を守らなかったり、人を欺いたりする態度。
- 形式的(けいしきてき):内容よりも形式ばかりを重んじるさま。心が伴っていない様子。
- 口先だけ(くちさきだけ):言葉だけで、実際の行動や気持ちが伴わないこと。
- お座なり(おざなり):その場しのぎで、いい加減に対応するさま。誠意が見られない態度。
- 上の空(うわのそら):他のことを考えていて、目の前のことに心が向いていない様子。
英語で伝える「誠心誠意」
「誠心誠意」の持つ「偽りのない真心」というニュアンスを英語で表現するには、以下のような言葉が考えられます。
- with sincerity
意味:誠実に、真心をもって。最も一般的に使われる表現です。 - wholeheartedly
意味:心を込めて、熱心に。心全体で取り組むニュアンスが強まります。 - in good faith
意味:誠実に、善意で。特に契約や交渉の場面で、相手を欺く意図がないことを示す際に使われます。
まとめ
「誠心誠意」とは、嘘偽りのない純粋な真心をもって、真面目に物事に取り組む姿勢を表す四字熟語です。
「誠心」と「誠意」、どちらも「まことの心」を意味する言葉を重ねることで、その意味合いが強く表現されています。
この言葉は、ビジネスや日常生活において、相手への敬意や自身の真剣な思いを伝える際に用いられます。
しかし、「誠心誠意」は言葉の重みを理解し、軽々しく使うべきではありません。
口先だけでなく、実際の行動や態度でその「まごころ」を示すことが何よりも大切です。
心からの「まこと」が伴ってこそ、この言葉は真の輝きを放ち、相手との信頼関係を築き、より良い結果へと繋がっていくでしょう。
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