錦を着て故郷へ帰る

慣用句 故事成語
錦を着て故郷へ帰る(にしきをきてこきょうへかえる)
異形:錦を着て郷に帰る/衣錦還郷

14文字の言葉」から始まる言葉
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「錦(にしき)を着て故郷へ帰る」という言葉、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
成功や達成感、そして故郷への想いが込められた、晴れやかな響きを持つ表現です。

この記事では、「錦を着て故郷へ帰る」という言葉の意味や由来、使われ方、そして関連する表現について、分かりやすく解説していきます。
この美しい言葉に込められた願いや背景を探ってみましょう。

「錦を着て故郷へ帰る」の意味・教訓

この言葉は、立身出世したり、大きな成功を収めたりして、晴れがましい思いで故郷へ帰ることのたとえです。

「錦」とは、様々な色の糸を使って美しい模様を織り出した、豪華で高価な絹織物のことです。
かつては身分の高い人や富裕な人しか身につけられないものでした。そのような立派な錦の衣服を着て故郷に帰る、ということから、社会的に成功した姿で、誇らしい気持ちで故郷に戻る状況を表します。

単に故郷へ帰るのではなく、成功者として胸を張って帰郷するというニュアンスが重要です。

「錦を着て故郷へ帰る」の語源 – 項羽の故事

この言葉は、中国の歴史書『史記』にある項羽こううの故事に由来する故事成語です。

成功した項羽が、故郷に帰らなければ「錦を着て夜道を歩くようなものだ(誰も見てくれず意味がない)」と言ったとされます。

この「錦を着て夜道を行く(衣錦夜行:いきんやこう)」という言葉から転じて、成功して故郷に帰ることを「錦を着て故郷へ帰る(衣錦還郷:いきんかんきょう)」と言うようになりました。

「錦を着て故郷へ帰る」が使われる場面と例文

主に、努力が実を結び、社会的な成功や名声を得て、誇らしい気持ちで故郷に帰る場面で使われます。

  • 出世や成功:都会や他郷で苦労して成功を収め、その成果を故郷の人々に見せるために帰郷する時。
  • 大きな功績:スポーツ選手が大会で優勝したり、芸術家が賞を受賞したりして、その栄誉を携えて故郷に帰る時。
  • 目標達成:長年の目標を達成し、それを報告するために晴れやかな気持ちで帰郷する時。

例文

  • 「彼は長年の努力が実り、社長として錦を着て故郷へ帰ることになった。」
  • 「オリンピックで金メダルを獲得した選手が、錦を着て故郷へ帰ると、町中が歓迎ムードに包まれた。」
  • 「いつか必ず成功して、錦を着て故郷へ帰るのが彼の夢だ。」

「錦を着て故郷へ帰る」の類義語・関連語

同じように、成功して故郷に帰ることを表す言葉があります。

  • 故郷へ錦を飾る:立身出世して故郷に帰り、名誉を示すこと。ほぼ同義。
  • 衣錦還郷(いきんかんきょう):錦の衣服を着て故郷へ帰ること。まさに「錦を着て故郷へ帰る」の四字熟語表現であり、語源にも関連する。
  • 錦旋(きんせん):錦を着て帰ること。成功して故郷へ帰ること。

「錦を着て故郷へ帰る」の対義語

成功とは逆に、失意のうちに故郷へ帰る状況や、故郷を離れることを示す言葉が対照的です。

  • 都落ち(みやこおち):都から地方へ落ち延びること。不本意な形で都を離れること。
  • 落ちぶれて故郷へ帰る:失敗したり、困窮したりして、みじめな状態で故郷へ戻ること。
  • 左遷(させん):低い地位や役職へ移されること。多くの場合、都から地方へ移されることを伴う。

「錦を着て故郷へ帰る」の英語での類似表現

英語で「錦を着て故郷へ帰る」の「成功して故郷に帰る」というニュアンスに近い表現は以下の通りです。

  • return home in glory
    意味:栄光のうちに故郷へ帰る。
  • a triumphant return
    意味:意気揚々とした帰還、凱旋(がいせん)。
  • come home a success
    意味:成功者として故郷へ帰る。

「錦を着て故郷へ帰る」に関する豆知識 – 現代の錦

現代では、文字通り高価な錦の衣服を着ることは少なくなりましたが、この言葉の持つ意味合いは生きています。

現代における「錦」とは、社会的地位、経済的な成功、名声、獲得したタイトルや賞、あるいは人々の賞賛など、目に見える形での成功の証を象徴していると言えるでしょう。故郷の人々に誇れるような成果を上げて帰る、という気持ちが大切なのです。

まとめ – 故郷への想いと成功の証

「錦を着て故郷へ帰る」は、立身出世して晴れがましい気持ちで故郷へ帰ることを意味する、希望に満ちた言葉です。

中国の故事に由来し、成功の象徴である「錦」を身にまとい、故郷の人々にその成果を示す喜びを表しています。多くの人が抱く、故郷への想いと成功への憧れが詰まった、美しい表現と言えるでしょう。この言葉は、努力を続ける人々にとって、目指すべき目標の一つとして輝き続けています。

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