もくじ
「万事休す」とは? – 絶望的な状況
「万事休す」とは、あらゆる物事が終わり、もはや施すすべがない、完全に終わってしまった状態を意味する言葉です。
努力や工夫もむなしく、「もうこれまでだ」と諦めざるを得ないような、絶望的で手の打ちようがない状況を表します。
最後の望みが断たれた瞬間に使われることが多い表現です。
語源 – 言葉の成り立ち
「万事休す」の明確な故事や出典は特定されていませんが、漢文の「万事(ばんじ)、休(きゅう)す」という読み下しが由来とされます。
「万事」は「すべてのこと」、「休す」は「終わる、停止する」という意味です。
文字通り「すべてのことが終わってしまった」という意味から、現在の「打つ手がない絶望的な状況」として定着したと考えられます。
使われる場面と例文 – 日常からビジネスまで
日常生活の些細なことから、仕事上の重大な局面まで、「もうだめだ」と感じる状況で使われます。
計画の頓挫や、最後の頼みの綱が切れた時などが典型例です。
例文
- 「楽しみにしていたキャンプ当日、まさかの大雨と強風で万事休す。中止にするしかなかった。」
- 「プレゼン資料の入ったUSBメモリを紛失してしまった。バックアップもなく、まさに万事休すだ。」
- 「試合終了間際に決定的なエラーをしてしまい、逆転の望みは絶たれた。これで万事休すか。」
- 「取引先からの突然の契約打ち切りで、会社の経営は万事休すの状態に追い込まれた。」
類義語 – 行き詰まりを表す言葉
- 絶体絶命(ぜったいぜつめい):体も命も追い詰められた、逃れようのない非常に困難で危険な状況。
- 一巻の終わり(いっかんのおわり):物事の結末、特に悪い結果に終わること。おしまい。
- 刀折れ矢尽きる(かたなおれやつきる):戦う手段がなくなり、目的を続ける方法や気力が尽きること。
- 手の打ちようがない(てのうちようがない):問題を解決するための方法が全く見当たらないこと。
- 進退窮まる(しんたいきわまる):進むことも退くこともできず、どうしようもない苦しい立場。
対義語 – 活路や希望を表す言葉
- 起死回生(きしかいせい):絶望的な状況から、一気に形勢を立て直すこと。
- 九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる):ほとんど助かる見込みのない危険な状態から、かろうじて命拾いすること。
- 捲土重来(けんどちょうらい):一度敗れた者が、再び勢いを盛り返して挑戦してくること。
※ 再起の可能性を示す点で「万事休す」と対照的。 - 助け船を出す(たすけぶねをだす):困窮している人に援助の手を差し伸べること。
※ 窮地を脱する外部からの援助。
英語での類似表現 – 終わりを告げるフレーズ
「万事休す」の「すべてが終わった」というニュアンスは、英語では以下のように表現できます。
- It’s all over.
意味:すべて終わった。
状況が完全に終了したことを示す直接的な表現。 - Game over.
意味:ゲームオーバー。
計画や試みが完全に失敗し、終わってしまった状況。 - The die is cast.
意味:賽(さい)は投げられた。
もう後戻りできず、運命が決まった状況。「どうしようもない」というニュアンス。 - We’re done for. / I’m done for.
意味:我々はおしまいだ。/私はおしまいだ。
破滅や失敗が避けられない深刻な状況。
まとめ – 「万事休す」から考える備え
「万事休す」は、もはや打つ手がなく、すべてが終わってしまったと感じる厳しい状況を表します。
この言葉は、私たちに状況の深刻さを伝えると共に、物事への備えの重要性を示唆します。
予期せぬ事態を想定し、代替案を用意しておくことで、「万事休す」の状況を避けられるかもしれません。
また、たとえそのような状況に陥っても、完全に諦めるのではなく、冷静に状況を見つめ直し、わずかな可能性や別の道を探る姿勢も大切です。
「万事休す」という言葉は、最悪の事態を認識しつつ、そこから学び次に繋げる心構えを持つきっかけを与えてくれます。
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