「案ずるより産むが易し」の意味・語源・由来
意味
何かを始める前は、あれこれ心配したり悩んだりするものだが、実際にやってみると、思っていたよりも簡単にできることが多い、という意味です。
心配ばかりして行動に移せない人に対して、まずはやってみることを促す際によく使われます。
結果を恐れず、まずは行動することの大切さを説くことわざです。
語源・由来
このことわざは、江戸時代にはすでに使われていたとされていますが、正確な起源は不明です。
有力な説は、以下の通りです。
- 出産を例えにした説:
最も有力な説は、出産を例えにしているというものです。
初産婦は、出産に対して大きな不安や恐怖を抱きがちです。
しかし、実際に産んでみると、心配していたほど大変ではなかった、という経験談が多くあります。
このことから、「心配するよりも、実際にやってみれば案外簡単だ」という意味で使われるようになったと考えられています。
ただし、現代では、出産の苦しみやリスクを軽視していると捉えられかねないため、使う状況には配慮が必要です。 - 「生む」を「行う」と解釈する説:
「産む」を「生む」「行う」という意味で広く解釈する説もあります。
つまり、文字通りの出産だけでなく、新しいことを始める、何かを作り出す、といった行為全般を指すと考えるわけです。
この解釈であれば、出産経験のない人や、男性に対しても使いやすくなります。
「案ずるより産むが易し」の使い方(例文)
- 「初めてのプレゼンで緊張するけど、案ずるより産むが易しと言うし、まずはやってみよう。」
- 「案ずるより産むが易し。失敗を恐れずに、新しいことに挑戦してみることが大切だ。」
- 「留学を迷っているなら、案ずるより産むが易しだよ。行ってみれば、きっと何とかなる。」
- 「起業は不安かもしれないが、案ずるより産むが易しという言葉もある。まずは小さく始めてみては?」
- 「難しいと思っていた料理も、案ずるより産むが易しで、レシピ通りに作ったら意外と簡単だった。」
注意! 間違った使い方、間違いやすい読み方
- 「案ずるより生むが易し」とするのは誤りです。「産む」が正しい表記です。
「案ずるより産むが易し」の類義語
- 習うより慣れろ:人に教わるよりも、自分で経験を積む方が早く身につくこと。
- 論より証拠:あれこれ議論するよりも、証拠を見ればはっきりすること。
(少しニュアンスが異なるが、結果が全てという点で共通) - 百聞は一見に如かず:何度も聞くより、一度自分の目で見る方が確かであること。
- やってみなければわからない:実際に行動してみないと、結果はわからないこと。
- まずは隗より始めよ: 大きなことを成し遂げるためには、まず身近なことから始めるのが良い。言い出した自分から始めよ、という意味。(行動を促す点で共通性がある)
「案ずるより産むが易し」の対義語
- 石橋を叩いて渡る:非常に用心深く、安全を確認して物事を行うこと。
- 転ばぬ先の杖:失敗しないように、前もって用心すること。
- 念には念を入れよ:十分に注意した上にも、さらに注意すること。
- 慎重すぎる:注意深く、なかなか行動に移さないさま。
使用上の注意点
このことわざは、行動を促す際に有効ですが、時と場合によっては、無責任な発言と受け取られる可能性があります。
特に、リスクの高いことや、十分な準備が必要なことに対して使うのは避けた方が良いでしょう。
また、前述の通り、出産を安易に考えていると誤解される可能性もあるため、相手や状況には配慮が必要です。
「案ずるより産むが易し」に類似した英語表現
Don’t cross your bridges before you come to them.
直訳:橋に来る前に、橋を渡る心配をするな。
意味:まだ起こっていないことを心配しても仕方がない。取り越し苦労をするな。
例文:
You’re worrying too much about the exam. Don’t cross your bridges before you come to them.
(試験のことで心配しすぎだよ。案ずるより産むが易しだよ。)
The proof of the pudding is in the eating.
直訳:プリンの味は食べてみなければわからない。
意味:実際にやってみないと、結果はわからない。
例文:
You can speculate all you want, but the proof of the pudding is in the eating.
(いくら推測してもいいけど、案ずるより産むが易しだよ。)
Easier said than done.
直訳:言うは易く行うは難し。
意味:口で言うのは簡単だが、実際に行うのは難しい。
※「案ずるより産むが易し」の直接的な英訳ではないが、対照的な表現として挙げられる。
例文:
It’s easier said than done, but you should try to be more positive.
(言うは易く行うは難しだけど、もっと前向きになるように努力すべきだよ。)
まとめ
「案ずるより産むが易し」は、心配ばかりせずに、まず行動することの大切さを説くことわざです。
ただし、リスクを軽視したり、無責任な行動を助長したりしないよう、使う場面には注意が必要です。
類義語や対義語、英語表現と合わせて理解することで、より適切にこのことわざを使いこなせるようになるでしょう。
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