もくじ
「一巻の終わり」とは? – 物事の結末
「一巻の終わり」とは、物事の結末、特にあっけない終わり方や、望ましくない結果に終わることを意味する言葉です。
「これで全ておしまいだ」「もうだめだ」といった、諦めや終焉のニュアンスを含みます。
まるで短い物語が一巻で完結するように、何かがそこで区切りを迎え、終わってしまう状況を表します。
語源・由来 – 物語の終わりから
この言葉の由来は、江戸時代の読み物である草双紙(くさぞうし)や、人形浄瑠璃の台本などが、多くの場合一巻で一つの話が完結していたことにあります。
物語がその巻で終わりを迎えるように、実際の出来事や状況が結末を迎えること、特にそこで終わってしまうことを指して「一巻の終わり」と言うようになりました。
使われる場面と例文 – 日常での「おしまい」
「一巻の終わり」は、失敗や手遅れによって、ある状況が終局を迎えたと感じる際に使われます。取り返しのつかない事態や、努力が水泡に帰した瞬間などです。
例文
- 「試験終了間際に、解答欄を一つずらして書いていたことに気づいた。もう一巻の終わりだ。」
- 「大事なプレゼン資料を上書き保存し忘れて閉じてしまった。これで一巻の終わりかもしれない。」
- 「ゴール前で転倒してしまい、優勝の望みは絶たれた。あっけない一巻の終わりだった。」
- 「秘密にしていた計画が、うっかり口を滑らせたせいで上司にばれてしまった。これで一巻の終わりだ。」
類義語 – 終焉や絶望を表す言葉
- 万事休す(ばんじきゅうす):もはや施すすべがなく、完全に終わってしまった状態。
※ 「一巻の終わり」よりも、打つ手がない絶望感に焦点が当たる。 - お陀仏(おだぶつ):死ぬことの俗語。転じて、物事がだめになること、失敗に終わること。
- 年貢の納め時(ねんぐのおさめどき):悪事や抵抗を続けてきた者が、ついに捕らえられたり、諦めたりしなければならない時。
- ジ・エンド (The End):終わり。結末。映画などの終わりを示す言葉から転用される。
対義語 – 始まりや継続を表す言葉
- 起死回生(きしかいせい):絶望的な状況から、一気に形勢を立て直すこと。
- これから:物事がまだ始まっていない、または今後も続いていく状態。未来への展望。
- 序の口(じょのくち):相撲の番付の一番下に由来し、物事のほんの始まり、初歩の段階であること。
- 始まり(はじまり):物事が起こり始めること。開始。
英語での類似表現 – 終わりを示すフレーズ
「一巻の終わり」の持つ「これで終わりだ」「おしまいだ」というニュアンスは、英語では以下のような表現で言い表せます。
- That’s the end of it. / That’s the end of the story.
意味:それでおしまいだ。
物事がそれで完結し、終わりであることを示す表現。 - It’s curtains for someone/something.
意味:(人・物事)はおしまいだ、終わりだ。
劇の終わりに幕が下りる様子から、終わりや失敗を表す口語表現。 - Game over.
意味:ゲームオーバー。
計画の失敗や、状況の終焉を示す際に使われる。「万事休す」に近いニュアンスも。
まとめ – 「一巻の終わり」が示す区切り
「一巻の終わり」は、物事があっけなく、あるいは残念な形で結末を迎える状況を表す慣用句です。
江戸時代の物語が一巻で完結したように、そこで話が終わってしまう、というニュアンスを持っています。
失敗や手遅れによって「もうおしまいだ」と感じる時に使われますが、必ずしも深刻な状況だけを指すわけではありません。
時には、一つの区切りとして、潔く諦めるような場面で使われることもあるでしょう。
この言葉は、人生における様々な出来事の結末や区切りを、少し皮肉めいた響きをもって表現しています。
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