瓜の蔓に茄子はならぬ

ことわざ
瓜の蔓に茄子はならぬ(うりのつるになすびはならぬ)

13文字の言葉」から始まる言葉
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意味・教訓 – 血筋と結果の道理

「瓜の蔓(つる)に茄子はならぬ」とは、瓜の蔓には瓜しか実らず、茄子のような全く違うものは実らないように、物事はその原因に応じた結果しか生まれない、という意味のことわざです。

特に、平凡な親からは平凡な子が生まれ、非凡な才能を持つ子が生まれることはない、という血筋や家柄について語られることが多い言葉です。
また、原因がなければそれ相応の結果は得られない、努力なしに良い結果は望めない、といった意味合いで使われることもあります。

このことわざは、血筋や物事の道理は変えられないという現実を示す一方で、人は自分の生まれや境遇から大きく外れることは難しい、という少し諦めに似たニュアンスを含む場合もあります。

語源・由来 – 農作物の観察から生まれた知恵

このことわざの直接的な由来は、農作物の観察にあります。
文字通り、瓜を育てているツルに、全く種類の違う茄子が実ることはありえない、という自然界の当然の法則を表しています。

いつ頃から言われるようになったか正確な記録はありませんが、古くから農耕に親しんできた日本人の生活実感に基づいた言葉と考えられます。
植物がその種に従った実をつける様子を、人間の親子関係や物事の因果関係になぞらえて、教訓的な意味を持つことわざとして使われるようになりました。

使用される場面と例文 – 人間関係や結果について

「瓜の蔓に茄子はならぬ」は、主に人の血筋や親子関係について、子は親に似るものだ、という文脈で使われます。
また、期待外れの結果になった時や、原因と結果の当然の関係性を指摘する場面などでも用いられます。

例文

  • 「あの子がお父さんと同じように絵が得意なのも、瓜の蔓に茄子はならぬということだろうね。」
  • 「彼は努力を怠っていたから、試験に落ちたのも無理はない。まさに瓜の蔓に茄子はならぬだよ。」
  • 「名門の出ではない私が、いきなり社交界で活躍するのは難しいでしょう。瓜の蔓に茄子はならぬですから。」

類義語 – 血筋や分相応を表す言葉

  • 蛙の子は蛙:子供の性質や能力は親に似るもので、平凡な親から生まれた子はやはり平凡である、という意味。このことわざとほぼ同じ意味で使われます。
  • この親にしてこの子あり:(良くも悪くも)子が親に似ていることを指して言う言葉。感心したり、逆に呆れたりする場面で使われます。
  • 麦飯に漬物:質素な麦飯には質素な漬物が似合うように、物事にはそれぞれ釣り合いがある、分相応であることのたとえ。

対義語 – 血筋を超えた可能性

  • 鳶が鷹を産む:平凡な親から、優れた才能を持つ子供が生まれることのたとえ。「鳶」は平凡な鳥、「鷹」は優れた鳥の象徴です。
    ※ 血筋だけでは決まらない可能性を示唆する言葉です。
  • 氏より育ち:家柄や血筋よりも、育った環境や教育の方が、その人の人格形成に大きな影響を与えるという意味。
    ※ 生まれ持ったものよりも後天的な要因を重視する考え方です。

英語での類似表現 – 血は争えない?

  • Like father, like son.
    意味:この父にしてこの子あり。父親と息子が似ていることを指します。
    (Like mother, like daughter. とも言います)
  • An apple never falls far from the tree.
    意味:リンゴは決して木から遠くには落ちない。子供は親の性質や行動を受け継ぐものだ、という意味です。
  • Blood will tell.
    意味:血は語る(明らかにする)。家柄や血筋はその人の性質や能力に現れるものだ、という意味です。
  • You can’t make a silk purse out of a sow’s ear.
    直訳:雌豚の耳から絹の財布は作れない。
    意味:元が良くないものから、素晴らしいものを作り出すことはできない、という意味。
    原因に応じた結果しか得られない、というニュアンスで使われます。

使用上の注意点 – 差別的な解釈への警鐘

「瓜の蔓に茄子はならぬ」は、血筋や家柄がすべてであるかのような、差別的な意味合いで使われる可能性には注意が必要です。
人の能力や可能性は、生まれだけで決まるものではありません。

対義語の「鳶が鷹を産む」や「氏より育ち」という言葉もあるように、育った環境や本人の努力によって、人は大きく成長することができます。
このことわざを使う際には、人を決めつけるような使い方にならないよう、配慮することが大切です。

まとめ

「瓜の蔓に茄子はならぬ」は、瓜の蔓には瓜しか実らないという自然の摂理から転じて、物事の原因に応じた結果しか生まれないこと、特に子は親に似るものであることを表すことわざです。
血筋や物事の道理は変えがたいという側面を指摘する一方で、使い方によっては人を生まれだけで判断するような響きも持ちます。
現代社会においては、人の可能性を狭めるような使い方にならないよう、注意が必要な言葉と言えるでしょう。

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