刻苦勉励

四字熟語
刻苦勉励(こっくべんれい)

7文字の言葉こ・ご」から始まる言葉
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意味・教訓 – 苦労を重ね、ひたすら励むこと

「刻苦勉励」とは、心身を苦しめるほどのつらい苦労(刻苦)に耐えながら、一心に務め励む(勉励)ことを意味する四字熟語です。

楽な道を選ばず、あえて困難な状況の中で、目標達成のために懸命に努力を続ける、その真摯で、ひたむきな姿勢を表します。
単に努力するだけでなく、「苦労」や「困難」を乗り越えながら励んでいる、という点が強調されます。

この言葉は、目標達成のために必要な、苦難に耐える強い精神力と、たゆまぬ努力の尊さを示唆しています。

語源・由来 – 苦しみに耐え、努め励む

「刻苦勉励」は、「刻苦」と「勉励」という二つの熟語が組み合わさってできています。

  • 刻苦(こっく):「刻」は、刻むような、心身を深く傷つけるほどの、という意味合い。
    「苦」は、くるしみ、つらさ。合わせて、非常につらい苦労や困難を意味します。
  • 勉励(べんれい):「勉」は、つとめる、はげむ。
    「励」も、はげむ、努力する。合わせて、一生懸命に務め、励むことを意味します。

つまり、「心身を削るようなつらい苦労(刻苦)に耐えながら、ひたすらに学業や仕事に務め励む(勉励)」というのが、この言葉の成り立ちです。
困難な状況下でも、志を曲げずに努力し続ける、強い意志を感じさせる表現です。
努力や精進を重んじる、中国の古典などに由来する考え方に基づいているとされます。

使用される場面と例文 – 苦労しながらも努力する時に

「刻苦勉励」は、学問や研究に打ち込む学生、厳しい修行に励む人、困難な状況の中で事業を成功させようと奮闘する人など、苦労や困難を伴いながらも、目標に向かって懸命に努力している人や、その様子を表現する際に使われます。
多くの場合、その努力を称賛したり、尊敬の念を示したりする文脈で用いられます。

例文

  • 「彼は貧しい環境の中、刻苦勉励して学問を修め、立派な学者になった。」
  • 「彼女は刻苦勉励の末、ついに長年の夢であった司法試験に合格した。」
  • 「師匠の下で刻苦勉励の日々を送ることが、彼の成長の糧となった。」
  • 「成功のためには、一時の刻苦勉励も厭(いと)わない覚悟が必要だ。」

類義語 – 似た意味を持つ言葉

  • 精励恪勤(せいれいかっきん):精神を込めて務め、まじめに仕事や学業に励むこと。
    努力や勤勉さを表しますが、「刻苦勉励」ほどの「苦労」のニュアンスは強くありません。
  • 臥薪嘗胆(がしんしょうたん):将来の成功や目的達成のために、長い間苦労や試練に耐えること。
    苦労に耐える点は共通しますが、特に「復讐」や「雪辱」といった強い目的意識を持つ場合に多く使われます。
  • 粒々辛苦(りゅうりゅうしんく):穀物の一粒一粒に農民の苦労がこもっている意から、こつこつと苦労して努力すること。
    地道な努力や、苦労して物を作り上げるプロセスを強調します。
  • 一所懸命(いっしょけんめい):命がけで物事を行うさま。力の限り努力するさま。
    努力の度合いを表す一般的な言葉です。「刻苦」が示すような、困難に耐えるニュアンスは必須ではありません。

対義語 – 反対の意味を持つ言葉

  • 安逸(あんいつ):気楽でのんびりしていること。何の苦労もなく、ぶらぶらして日を送ること。
    ※ 苦労して努力する「刻苦勉励」とは正反対の、楽な状態。
  • 怠惰(たいだ):なまけていて、努力をしないさま。
    ※ 努力そのものをしないこと。
  • 遊惰(ゆうだ):仕事などをせず、なまけて遊び暮らすこと。
    ※ 努力とは無縁の、怠けた生活態度。
  • 楽をする:苦労を避けて、安楽な状態を得ようとすること。
    ※ 苦労に耐える「刻苦勉励」とは逆の、楽な方を選ぶ態度。

英語での類似表現 – 苦労を重ねた努力

  • strenuous effort and diligence
    意味:懸命な努力と勤勉さ。
    「刻苦勉励」の持つ、大変な努力と真面目さを表します。
  • work diligently through hardship
    意味:困難を通じて、勤勉に働く(努力する)。
    苦労(hardship)を乗り越えながら努力する様子を説明的に表現します。
  • assiduous effort
    意味:勤勉な努力、根気強い努力。
    粘り強く、こつこつと続ける努力を指します。
  • painstaking work / effort
    意味:骨の折れる仕事/努力、丹念な仕事/努力。
    細部にまで注意を払い、手間と時間をかけて行う努力を表します。
  • burn the midnight oil
    直訳:真夜中の油を燃やす。
    意味:夜遅くまで勉強や仕事をする。
    長時間の努力、特に夜を徹しての努力を比喩的に表す慣用句です。

使用上の注意点 – 困難の中での努力を称える

「刻苦勉励」は、「刻苦」という言葉が含まれるように、単なる努力ではなく、つらい状況や困難に耐えながら行う、並々ならぬ努力を指します。
そのため、比較的楽な状況での努力や、一時的な頑張りに対して使うと、少し言葉の重みと合わないかもしれません。

苦労を知る人、困難を乗り越えてきた人の努力を称賛したり、自らがそのような状況で努力する決意を示す際に使うと、その言葉の持つ真価が伝わるでしょう。
人のひたむきな努力に対する、深い敬意が感じられる言葉です。

まとめ

「刻苦勉励」とは、心身を削るような苦労や困難(刻苦)にもくじけず、ひたすら目標に向かって務め励む(勉励)、その真摯で粘り強い努力の姿を表す四字熟語です。

逆境の中にあっても、希望を失わず、歯を食いしばって努力を続ける…。
そんな、人間の精神力の強さや、目標達成への執念をも感じさせます。

この言葉は、楽な道ばかりではない人生において、困難に立ち向かい、それを乗り越えていくことの尊さを、静かに、しかし力強く私たちに語りかけているようです。
苦労の末に掴む成功の輝きは、きっと格別なものなのでしょうね。

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