意味・教訓
「命あっての物種」とは、何をするにも、まず命が大切であるという教えです。
命がなければ、どんな物も意味をなさない、つまり、生きていてこそ、何事も可能になるという意味を表します。
健康や安全を第一に考えるべきだという、戒めの言葉としても使われます。
語源・由来
「物種」とは、物事の元となるもの、原因、材料、そして話の種などを意味します。
このことわざは、草木の種がなければ芽が出ないように、人間の命が全ての根源であるという考えに基づいています。
初出は不明確ですが、『古事談』(1212年〜1215年頃成立)や『沙石集』(1279年〜1283年成立)など、鎌倉時代の説話集に見られることから、古くから使われていたことわざであると考えられています。
使用される場面と例文
「命あっての物種」は、危険を伴う行動を戒めたり、健康や安全を第一に考えるように促したりする場面で使われます。
また、日常会話では、「命あってのものだねぇ〜」としみじみと述懐するような口語表現としてもよく用いられます。
本来の「命あっての物種」とは違う読み方ではありますが、意味はあながち間違ってはいません。
例文
- 「いくら仕事が忙しくても、睡眠時間を削るのは良くない。命あっての物種だよ。」
- 「無理なダイエットは体に良くないよ。命あっての物種と言うだろう?」
- 「危険な場所には近づかない方がいい。命あっての物種だからね。」
- 「冒険もいいけど、まずは安全第一。命あっての物種だ。」
文学作品等での使用例
山本周五郎の小説『樅ノ木は残った』には、以下のような一節があります。
「命あっての物種と申します。お身を大切になされませ。」
これは、主人公が危険な状況に身を置こうとする際に、周囲の人間が主人公を心配してかける言葉です。
「命あっての物種」という言葉は、主人公の身の安全を第一に考えるように促す、強いメッセージとして機能しています。
類義語
- 生きての花実(いきてのはなみ):生きているからこそ、良いことや楽しいことがある。
- 死んで花実が咲くものか(しんではなみがさくものか):死んでしまっては、何もできない。
(ほぼ同じ意味) - 健康第一:健康が何よりも大切である。
関連語
- 命:生物が生きている状態。
- 健康:心身が正常に機能し、病気でない状態。
- 安全:危険がなく、安心できる状態。
関連する四字熟語
- 無病息災(むびょうそくさい):病気をせず、健康であること。
対義語
- 一寸延びれば尋延びる (いっすんのびればひろのびる):
わずかな時間でも命が助かれば、さらに長く生き延びる可能性があること。
(命を軽視している訳ではないが、たとえわずかでも命を長らえようとすること、諦めないことを表しており、「命あっての物種」とは逆の考え方。) - 死中に活を求める(しちゅうにかつをもとめる):
絶望的な状況の中で、活路を見いだそうとすること。
(命の危険を顧みず、可能性に賭けるという点で対義語的。)
英語表現(類似の表現)
- While there is life, there is hope.
意味:生きている限り、希望がある。 - Life is the most precious thing.
意味:命は最も貴重なものである。
まとめ
「命あっての物種」は、何をするにも命が一番大切であるという教えです。
生きていてこそ、様々な活動や経験が可能になるので、健康や安全を第一に考えるべきだという戒めとして使われます。
しかし、時と場合によっては、このことわざが挑戦を避ける言い訳として使われることもあるため、状況に応じて適切な判断をすることが重要です。
何よりも命を大切にしつつ、前向きに生きていくことが大切であると理解しましょう。
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