下手の横好き

ことわざ
下手の横好き(へたのよこずき)

7文字の言葉へ・べ・ぺ」から始まる言葉
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「下手の横好き」の意味・語源・由来

意味

「下手の横好き」とは、技術や能力が未熟であるにもかかわらず、その事柄を非常に好んで熱心に行うこと、またはその人のことを指すことわざです。
単に下手なだけでなく、「好き」という感情が伴っている点が特徴です。
周囲から見ると滑稽に見えたり、迷惑に思われたりすることもありますが、本人は楽しんでいることが多いです。

語源・由来

「下手」は技術が未熟なこと、「横好き」は、本来は「横合いから好きになること」を意味する言葉です。
ここから転じて、「専門家ではないのに、ある分野を特別に好むこと」という意味で使われるようになりました。

「下手の横好き」の使い方(例文)

  • 「彼はカラオケが下手の横好きで、いつも音程を外しているけど、楽しそうに歌っている。」
  • 「彼女の料理は下手の横好きだけど、愛情はたっぷりこもっている。」
  • 「お父さんの日曜大工は下手の横好きで、作った棚はいつもガタガタしている。」
  • 「彼は下手の横好きで、ゴルフのスコアはいつも悪いけど、毎週コースに出ている。」
  • 下手の横好きでも良いじゃないか、楽しければ。」

注意! 間違った使い方

  • 「彼は絵が下手だ。まさに下手の横好きだ」(絵が好きかどうか不明な場合)(✕ 誤用)

単純に「下手」なだけでは「下手の横好き」とは言えません。「好きである」という要素が必要です。

「下手の横好き」の文学作品での使用例

自分でも下手の横好きで、若い時分から随分 下手な絵をかいて見たものだが、どうも物にならない。

(夏目漱石「草枕」)

「下手の横好き」の類義語

類義語(ことわざ・慣用句)

  • 下手の物好き:下手なのに、その物事を好むこと。
  • 道楽者(どうらくもの):趣味に熱中する人。
  • 凝り性(こりしょう):ある物事に熱中しやすい性質。

関連する概念・心理

  • 趣味、道楽:「熱中」「没頭」「こだわり」
  • 自己満足:「自己流」「マイペース」「楽しみ」
  • 技術と情熱:「下手」「好き」「情熱」

「下手の横好き」の対義語

  • 玄人裸足(くろうとはだし):素人なのに、玄人も及ばないほどの腕前であること。
  • 三日坊主:飽きっぽくて長続きしないことのたとえ。

使用上の注意点

「下手の横好き」は、やや揶揄するニュアンスを含む言葉です。
相手に直接言うと失礼にあたる場合があるので、注意が必要です。

「下手の横好き」に類似した英語表現

He (She) is all enthusiasm, but no talent.

直訳:彼(彼女)は熱意はあるが、才能がない。
意味:やる気はあるが、技術が伴わないこと。(「下手の横好き」に近い)

例文:
He’s all enthusiasm, but no talent when it comes to singing.
(彼は歌に関しては、やる気はあるけど才能がない。下手の横好きだ。)

He (She) loves doing something though he (she) is not good at it.

直訳:彼(彼女)は、それが得意ではないけれど、それをすることが大好きだ。
意味:下手なのに、その事が好きであること。

例文:
He loves playing golf though he’s not good at it.
(彼はゴルフが下手なのに、ゴルフをするのが大好きだ。)

enthusiastic amateur

直訳:熱心な素人
意味:特定の分野に情熱を持っているが、プロではない人。(より肯定的なニュアンス)

「下手の横好き」の意味、例文、類語、対義語、英語表現を解説。下手でも好きなことに熱中する人の心理を、夏目漱石の引用を交えて紹介します。例文:
He is an enthusiastic amateur photographer.
(彼は熱心なアマチュア写真家です。)

dabbler

直訳:ちょっとかじっただけの人
意味:趣味で何かを少しやってみる人。本格的ではない。(やや否定的なニュアンス)

例文:
He is just a dabbler in painting.
(彼は絵を描くことをほんの少しかじっているだけです。)

まとめ

「下手の横好き」は、技術は未熟でも、その事柄を心から楽しんでいる人を表すことわざです。
この言葉には、揶揄のニュアンスが含まれることもありますが、好きなことに熱中することの素晴らしさも表現しています。
「下手の横好き」と言われないように、技術を磨く努力も大切ですが、何よりも、好きなことを楽しむ気持ちを忘れずにいたいものです。
たとえ「下手の横好き」であっても、情熱を持って取り組むことで、いつか「玄人裸足」になれる日が来るかもしれません。

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