会うは別れの始め

ことわざ
逢うは別れの始め(あうはわかれのはじめ)

10文字の言葉」から始まる言葉
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「会うは別れの始め」の意味・語源・由来

意味

会うは別れの始め」とは、人と人が出会えば、いつかは必ず別れる時が来る、という意味のことわざです。
出会いの喜びの裏には、必ず別れの悲しみが伴うという、人生の無常観を表しています。
この世の全てのものは、常に変化し、同じ状態にとどまることはありません。出会いと別れもまた、人生の避けられない定めであるという教えです。

語源・由来

「会うは別れの始め」は、仏教の教えに由来すると言われています。
特に、仏教の根本的な考え方である「諸行無常(しょぎょうむじょう)」の思想が影響していると考えられます。

諸行無常とは、この世の全てのものは、常に変化し、同じ状態にとどまることはない、という意味です。
出会いと別れもまた、諸行無常の現れであり、避けられない運命である、という考え方です。

また、『法華経』の「会者定離(えしゃじょうり)」という言葉も、このことわざと関連があると言われています。
会者定離とは、会う者は必ず別れる運命にある、という意味です。

「会うは別れの始め」の使い方(例文)

  • 「卒業式は、新たな旅立ちであると同時に、別れの時でもある。会うは別れの始め、という言葉を実感する。」
  • 「新しい出会いは嬉しいが、いつか別れが来ることを思うと少し寂しい。会うは別れの始め、という言葉が身にしみる。」
  • 「どんなに愛し合っている二人でも、いつかは別れる時が来る。会うは別れの始め、なのだ。」
  • 「彼女との出会いは運命だと思ったが、会うは別れの始め。結局、別れてしまった。」
  • 「人生は出会いと別れの繰り返しだ。会うは別れの始め、ということを忘れずに、一期一会を大切にしたい。」

注意! 間違った使い方

  • 会うは別れの始め」だから、新しい人と出会うのはやめよう。(✕ 誤用)
    (出会いを避ける理由にはならない)

このことわざは、「出会いには必ず別れが伴う」という意味であり、「出会わない方が良い」という意味ではありません。

「会うは別れの始め」の文学作品での使用例

仏教的な無常観を表す言葉として、多くの文学作品で用いられています。

平家物語

冒頭の有名な一節「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」は、まさに「会うは別れの始め」の思想を表しています。平家の栄枯盛衰は、出会いと別れ、そして無常観を象徴しています。

和歌

別れをテーマにした和歌には、「会うは別れの始め」を連想させる表現が多く見られます。

  • 「世の中は何か常なるあすか川きのふの淵ぞけふは瀬になる」(よみ人しらず『古今和歌集』)
    世の中のものは何が永遠であろうか。まるで明日香川の昨日の淵が今日は瀬になるように、すべてのものは移り変わっていく。
  • 「別れ路はいつと知らねど秋の夜ぞ涙を添ふる荻の上風」(藤原定家『新古今和歌集』)
    現代語訳:いつ別れ道が来るともわからないけれど、秋の夜は、別れを悲しむ涙をさらに誘うように、荻の上を風が吹いている。
  • 「白玉か何ぞと人の問ひし時露と答へて消えなましものを」(在原業平『伊勢物語』)
    (あの光るものは)真珠ですか、何ですかと、人が尋ねた時に、(あれは)露ですと答えて、(露のように)消えてしまえばよかったのに。

これらの和歌は、「会うは別れの始め」という言葉そのものは使っていませんが、歌に込められた心情や情景は、出会いと別れの無常観、そして別れの悲しみを深く感じさせます。

「会うは別れの始め」の類義語・関連表現

類義語(仏教用語)

  • 会者定離(えしゃじょうり):会う者は必ず別れる運命にあること。
  • 生者必滅(しょうじゃひつめつ):生あるものは必ず滅びる運命にあること。
  • 諸行無常(しょぎょうむじょう):この世の全てのものは、常に変化し、同じ状態にとどまることはないこと。

関連する概念・心理

このことわざは、「無常観」「別れ」「運命」と深く結びついています。以下の言葉も関連性が高いです。

  • 儚さ(はかなさ):消えやすく、頼りない様子。
  • 別離(べつり):別れること。
  • 一期一会(いちごいちえ):一生に一度の出会い。

「会うは別れの始め」の対義語

  • 永遠:いつまでも変わらないこと。
  • 不滅:滅びないこと。
    (「永遠の出会い」や「不滅の愛」といった言葉が、対照的な意味合いを持つと言えるでしょう。)

使用上の注意点

「会うは別れの始め」は、出会いと別れの無常観を表すことわざですが、悲観的な意味合いだけではありません。
別れがあるからこそ、出会いの喜びや、一緒に過ごす時間を大切にできる、という肯定的な意味合いも含まれています。

「会うは別れの始め」に類似した英語表現

Every meeting ends in parting.

直訳:すべての出会いは別れで終わる。
意味:「会うは別れの始め」に相当する、英語のことわざです。

例文:
We should cherish our time together, because every meeting ends in parting.
(一緒に過ごす時間を大切にしよう。会うは別れの始め、と言うからね。)

We meet only to part.

直訳:私たちは別れるために出会う。
意味:より直接的な表現です。

Nothing lasts forever.

直訳:永遠に続くものはない。
意味:「諸行無常」に近い意味合いの表現です。

まとめ

「会うは別れの始め」は、出会いには必ず別れが伴うという、人生の無常観を表すことわざです。
仏教の「諸行無常」や「会者定離」の思想が色濃く反映されており、古くから日本の文学作品にも登場します。
このことわざは、別れを悲観するだけでなく、出会いそのものや、共に過ごす「今」という瞬間を大切にすることの重要性を示唆していると言えるでしょう。
関連する言葉である「一期一会」の精神にも通じ、日々の出会いをかけがえのないものとして、大切にしたいものです。

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