意味
「千里の道も一歩から」とは、どんなに遠い道のり(千里は約4,000km)でも、最初の一歩を踏み出すことから始まる、という意味のことわざです。
大きな目標を達成するためには、まず手近なことから着実に始めることが大切だという教訓を表しています。
語源・由来
「千里の道も一歩から」は、中国の古典『老子』の第六十四章にある以下の言葉に由来します。
「合抱之木、生於毫末。九層之臺、起於累土。千里之行、始於足下」(がっポウの木も、毫末(ごうまつ)より生ず。九層の台も、累土(るいど)より起こる。千里の行も、足下(そっか)より始まる)
- 合抱之木(がっポウのき): 両手で抱えるほど太い木
- 毫末(ごうまつ): ごくわずかなもの、毛先ほどの細い芽
- 九層之臺(きゅうそうのたい): 九層もの高い建物
- 累土(るいど): 土を積み重ねること
- 足下(そっか): 足元、第一歩
この言葉は、どんなに大きなものでも、最初は小さなものから始まる、ということを表しています。
使用される場面と例文
「千里の道も一歩から」は、主に以下のような場面で使われます。
- 大きな目標を前に、何から始めれば良いか迷っている人を励ますとき
- 長期的な計画を立て、着実に実行することの大切さを示すとき
- 小さな努力を軽視せず、積み重ねることの重要性を説くとき
例文
- 「ダイエットは、千里の道も一歩から。まずは、間食を減らすことから始めよう。」
- 「起業は、千里の道も一歩からだ。まずは、市場調査から始めよう。」
- 「プログラミングの勉強は、千里の道も一歩から。まずは、簡単なコードを書いてみよう。」
- 「どんなに難しい目標でも、千里の道も一歩からの精神で、諦めずに挑戦し続けることが大切だ。」
注意点(避けるべき使い方)
- 準備不足を正当化する場合
「千里の道も一歩から」は、まず行動することの重要性を示していますが、無計画に始めることを推奨しているわけではありません。
十分な準備や計画を立てた上で、最初の一歩を踏み出すことが大切です。 - 「最初の一歩」で満足してしまう場合
「千里の道も一歩から」は、あくまで「最初の一歩」の重要性を示しています。
最初の一歩を踏み出しただけで満足してしまい、その後の努力を怠ってしまっては、目標達成はできません。
類義語
- ローマは一日にして成らず:大事業は、長い年月と努力の積み重ねによって完成する。
- 雨垂れ石を穿つ:小さな力でも、根気よく努力を続ければ、大きな成果が得られる。
- 塵も積もれば山となる:わずかなものでも、積もり積もれば大きなものになる。
- 一歩ずつ:着実に進む様子。
- 万事始まりが肝心:何事も最初が肝心である。
関連する心理学の概念
- スモールステップの原理: 大きな目標を小さなステップに分割し、一つずつクリアしていくことで、目標達成に近づくという考え方。
対義語
- 始めが大事で後が不精(はじめがだいじであとがぶしょう): 最初は熱心だが、あとがだらしなくなる。
- 竜頭蛇尾(りゅうとうだび):初めは勢いが良いが、終わりは振るわないこと。
- 画竜点睛を欠く(がりょうてんせいをかく): 最後の肝心な仕上げを忘れる。
英語表現(類似の表現)
- A journey of a thousand miles begins with a single step.
直訳:千マイルの旅も、一歩から始まる。 - Rome wasn’t built in a day.
直訳:ローマは一日にして成らず。 - Every long journey starts with a first step.
直訳:どんな長い旅も、最初の一歩から始まる。
まとめ
「千里の道も一歩から」は、どんなに大きな目標でも、まず手近なことから着実に始めることが大切だという教訓を表すことわざです。
大きな目標を前に尻込みしてしまうのではなく、まずは最初の一歩を踏み出す勇気を持つこと。
そして、その一歩一歩を大切に積み重ねていくことが、目標達成への近道となるでしょう。
計画性も重要です。
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