意味
「ローマは一日にして成らず」とは、大事業や偉業は、長い年月と努力の積み重ねによって初めて達成されるという意味のことわざです。
何事も、一朝一夕には成し遂げられない、地道な努力の継続が大切である、という教えです。
「ローマ」は、古代ローマ帝国を指し、その繁栄が長い年月をかけて築かれたものであることを例えとしています。
語源・由来
このことわざの直接の起源は、古代ローマの特定の文献や出来事にあるわけではありません。
しかし、古代ローマ帝国が、長い年月をかけて広大な領土と繁栄を築き上げたという歴史的事実が、このことわざの背景にあります。
このことわざが、現在のような形で使われるようになったのは、中世ヨーロッパ以降だと考えられています。
12世紀のフランスの古いことわざ集に、類似の表現が見られます。
- Rome ne fu pas faite toute en un jour.(ロームは一日で作られたのではない)
これが、ヨーロッパ各地に広まり、それぞれの言語で翻訳され、使われるようになったと考えられます。
日本には、英語の “Rome was not built in a day.” が明治時代以降に翻訳され、広まった可能性が高いです。
使用される場面と例文
「ローマは一日にして成らず」は、大きな目標を達成するためには、時間と努力が必要であることを伝える際に使われます。
勉強、仕事、スポーツ、芸術など、あらゆる分野で、長期的な努力の重要性を説く言葉として用いられます。
また、すぐに結果が出なくても、諦めずに努力を続けるように励ます際にも使われます。
例文
- 「新しい言語を習得するのは難しいけど、ローマは一日にして成らずと言うから、毎日コツコツ勉強しよう。」
- 「ローマは一日にして成らず。大きなプロジェクトを成功させるには、地道な作業の積み重ねが大切だ。」
- 「ダイエットはすぐに効果が出ないからといって、諦めてはいけない。ローマは一日にして成らずだよ。」
- 「彼は入社当初は目立たなかったが、努力を続け、今では会社の中心人物だ。まさに、ローマは一日にして成らずだね。」
類義語
- 千里の道も一歩から:どんなに遠い道のりでも、最初の一歩を踏み出すことから始まるという意味。
- 石の上にも三年:冷たい石の上でも三年座り続ければ暖まるように、辛抱強く続ければ必ず成功するという意味。
- 雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ):わずかな雨垂れでも、長い間には石に穴を開けるように、小さな努力でも根気よく続ければ、大きな成果が得られるという意味。
- 継続は力なり:何事も、続けていくことで、力がついてくるという意味。
関連する概念
- 漸進主義(ぜんしんしゅぎ):物事を一気に変えようとするのではなく、少しずつ着実に改善していくという考え方。
- 複利効果:小さな利益でも、継続的に積み重ねることで、雪だるま式に大きな利益になること。
対義語
- 一攫千金(いっかくせんきん):一度に大金を手に入れること。
- 一朝一夕(いっちょういっせき):わずかな時間。
- にわか仕込み(にわかじこみ):急ごしらえで身につけた知識や技術。
使用上の注意点
「ローマは一日にして成らず」は、努力の重要性を説く言葉ですが努力の方向性が間違っている場合や非効率な方法で努力を続けている場合には成果が出ないこともあります。
このことわざを使う際は、「正しい方法で、継続的に努力すること」が大切であるという点を意識する必要があります。
また、結果を焦る相手に使うとプレッシャーを与えてしまうこともあるので注意が必要です。
英語表現(類似の表現)
Rome was not built in a day.
直訳:ローマは一日にして建てられなかった。
意味:「ローマは一日にして成らず」と全く同じ意味で、英語でも広く使われることわざです。
例文:
You can’t expect to master a new skill overnight. Rome was not built in a day.
(新しいスキルを一晩で習得できると思うな。ローマは一日にして成らず、だ。)
Great things take time.
直訳:偉大なことは時間がかかる。
意味:より一般的な言い方で、「ローマは一日にして成らず」とほぼ同じ意味。
例文:
Don’t be discouraged by slow progress. Great things take time.
(進歩が遅いからといって、落胆しないで。偉大なことは時間がかかるものだ。)
Little strokes fell great oaks.
直訳:小さな一撃が大きな樫の木を倒す
小さな努力の積み重ねが大きな成果を生む、という意味。「雨垂れ石を穿つ」に近い。
例文:
Just keep practicing, even a few minutes a day. Little strokes fell great oaks.
(毎日少しずつでも練習を続けなさい。小さな一撃が大きな樫の木を倒す、だ。)
まとめ
「ローマは一日にして成らず」は、壮大なローマ帝国の歴史を例えに、大きなことを成し遂げるには、長い時間と地道な努力が不可欠であると教えてくれることわざです。
大きな目標も、一歩一歩の積み重ねがあってこそ達成できるもの。すぐに結果が出なくても、諦めずに努力を続ける心が大切です。
ただし、がむしゃらに頑張れば良いわけではなく、正しい方向に、効果的な方法で努力を続けることが重要です。
「ローマは一日にして成らず」の精神を胸に、焦らず、着実に、自分の目標に向かって進んでいきましょう。
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