意味
「大器晩成」とは、本当に偉大な人物は、才能を開花させるまでに時間がかかるということ。
大きな器は、完成するまでに時間がかかることから例えられています。
一般的には、若い頃は目立たなくても、努力を続けることで後に大成する人を指します。
才能がありながらも、なかなか芽が出ない人を励ます言葉としても使われます。
語源・由来
「大器晩成」の言葉は、中国の古典『老子』四十一章に由来します。
老子は、次のように述べています。
大方無隅、大器晩成、大音希声、大象無形
(本当に大きな四角形には角がない。本当に大きな器は完成するのに時間がかかる。本当に大きな音は聞こえない。本当に大きな姿形は形がない。)
これらの言葉は、真に偉大なものは、一見すると普通のものと区別がつかない、あるいは理解しにくいという思想を表しています。
「大器晩成」も、すぐにはその価値がわからないが、時間をかけて真価を発揮するという意味で使われるようになりました。
使用される場面と例文
「大器晩成」は、若い頃には目立たなかった人が、後に大きな成功を収めた場合や、努力を続けている人に対して、将来の成功を期待して励ます場合に使われます。
例文
- 「彼は若い頃はパッとしなかったが、40歳を過ぎてから起業し、大成功を収めた。まさに大器晩成型だ。」
- 「彼女は、地道な研究を長年続け、ついにノーベル賞を受賞した。大器晩成を体現したような人だ。」
- 「今はまだ結果が出ていなくても、諦めずに努力を続ければ、君もきっと大器晩成するよ。」
- 「彼は大器晩成型だから、じっくり育てていく必要がある。」
文学作品等での使用例
「人間到る処青山有り」とはいうものの、なかなかそういう境地になれないのが凡人の凡人たる所以(ゆえん)で、自分などもやはりその一人、いつになったら一人前になれるのか、大器晩成とやらを気長に待つより外はなさそうである。(中略)兎に角、焦らず腐らず、地道にやっていくより外はないのである。
坂口安吾 『わが人生観』
坂口安吾は、自身の人生を振り返り、なかなか一人前になれない現状を「大器晩成」を待つしかないと表現しています。
焦らず腐らず、地道に努力を続けることの大切さを説いています。
類義語
- 遅咲き:普通より遅く花が咲くこと。転じて、若い頃は目立たなかった人が、年を取ってから活躍すること。
- 終わり良ければ総て良し:結果が良ければ、過程で何があっても全て良しとされること。
- スロースターター:活動開始が遅い人。
関連する心理学の概念
- 成長マインドセット(グロースマインドセット): 能力は固定的なものではなく、努力や経験によって成長すると考えること。
対義語
- 栴檀は双葉より芳し:才能のある人は幼い頃から優れていることのたとえ。
- 早熟:年や時期が早く熟すること。
- 早成:早く成長すること。
英語表現(類似の表現)
- Late bloomer
意味:遅咲きの人。 - Great talents mature late.
直訳:偉大な才能は遅れて成熟する。
意味:大器晩成。 - Rome was not built in a day.
直訳:ローマは一日にして成らず。
意味:偉大なことは短期間では達成できない。
(大器晩成の直接的な英訳ではありませんが、「時間がかかる」という点で共通の意味合いを持ちます。)
まとめ
「大器晩成」は、偉大な人物は才能を開花させるまでに時間がかかるという意味のことわざです。
若い頃は目立たなくても、努力を続けることで後に大成する可能性があることを示唆しています。
この言葉は、今は結果が出ていない人や、なかなか芽が出ない人を励ます際に使われます。
焦らずに努力を続けることの大切さを教えてくれる言葉です。
コメント