意味・教訓
「腹が減っては戦ができぬ」とは、お腹が空いている状態では、大切な仕事や勝負に集中できず、良い結果を出すことができない、という意味のことわざです。
何か大きなことを成し遂げようとする時には、まず腹ごしらえをして、心身のコンディションを整えることが大切だ、という教訓を含んでいます。
文字通りの「戦(いくさ)」だけでなく、現代では仕事、勉強、スポーツなど、力を尽くすべき様々な場面で使われます。
語源・由来
このことわざの明確な語源や特定の故事は存在しません。
しかし、昔から戦(いくさ)や重要な仕事の前には、しっかりと食事をとって力を蓄えるのが当然でした。
空腹では力が出せず、集中力も続かない、というのは、人々が経験から学んできた普遍的な事実でしょう。
そうした生活に根差した知恵が、ことわざとして定着したと考えられます。
使用される場面と例文
「腹が減っては戦ができぬ」は、何か重要なこと、集中力や体力が必要なことを始める前に、まずは腹ごしらえをしよう、準備を整えよう、と促す場面で使われます。
例文
- 「徹夜で企画書を仕上げる前に、まずは夕食を食べよう。腹が減っては戦ができぬからね。」
- 「大事なプレゼンの前だけど、緊張で食欲がない?いやいや、腹が減っては戦ができぬ。少しでも何か口にした方がいいよ。」
- 「試験勉強も大事だけど、休憩も必要だ。腹が減っては戦ができぬって言うだろ?ちゃんとご飯を食べて、もうひと頑張りしよう。」
- 「マラソン大会当日、朝食を抜くなんてとんでもない!腹が減っては戦ができぬぞ。」
関連語
- 腹ごしらえ:食事をとって、空腹を満たすこと。何かをする前の準備として食事をとること。
英語表現(類似の表現)
- An army marches on its stomach.
直訳:軍隊は胃袋で進軍する。
意味:軍隊が活動するためには食料の補給が不可欠である、ということから転じて、何かをするためにはエネルギー補給(食事)が重要である、という意味で使われます。 - You can’t work on an empty stomach.
意味:空腹では仕事ができない。
使用上の注意点
このことわざは、文字通りの食事だけでなく、比喩的に「準備が整っていなければ、物事はうまくいかない」という意味合いで使われることもあります。
例えば、十分な知識やスキルがないまま難しい仕事に挑戦しようとする人に対して、「まずは基礎を固めないと。腹が減っては戦ができぬだよ」といった形で使うこともできます。
まとめ
「腹が減っては戦ができぬ」は、空腹では本来の力を発揮できないことから、重要なことを成し遂げるには、まず基本的な準備(特に食事)が欠かせないという教訓を伝えることわざです。
仕事や勉強、スポーツなど、現代社会におけるさまざまな「戦い」に挑む私たちにとって、万全のコンディションを整える大切さを思い出させてくれる、身近で実践的な知恵と言えるでしょう。
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