もくじ
「犬骨折って鷹の餌食」の意味 – 苦労の成果を横取りされる
「犬骨折って鷹の餌食」とは、苦労して手に入れたものを、他人に横から奪われてしまうことのたとえです。
懸命な努力にもかかわらず、その成果を第三者に持っていかれ、自分には何も残らない「骨折り損」の状態を表します。
また、弱い者(犬)が苦労して得たものを、強い者(鷹)が力で奪うという、弱肉強食の不条理な状況を示すこともあります。
「犬骨折って鷹の餌食」の語源・由来 – 弱肉強食の自然界
このことわざの明確な出典は特定されていませんが、動物の世界の情景が元になっています。
文字通り、「犬が苦労して骨(獲物)を得たのに、上空から見ていた鷹に横取りされて餌食にされてしまった」という、自然界の弱肉強食の様子が目に浮かびます。
苦労する犬と力で奪う鷹を対比させ、人間の社会における理不尽さを風刺した、経験則からの言葉と考えられます。
「犬骨折って鷹の餌食」の使用場面と例文 – 報われない努力と横取り
自分が時間や労力を費やした成果や、苦労して得た地位などを、他人に横取りされてしまった際の不満や憤りを表す場面で使われます。
努力が報われず、徒労に終わったと感じる状況にも用います。
例文
- 「必死で集めた顧客リストを、退職する先輩にごっそり持って行かれた。まさに犬骨折って鷹の餌食だ。」
- 「せっかく良いアイデアを出したのに、上司が自分の手柄のように発表していた。犬骨折って鷹の餌食とはこのことか。」
- 「長年下積みで頑張ってきたのに、突然現れた新人に主役の座を奪われた。まるで犬骨折って鷹の餌食だよ。」
- 「苦労して育てた作物を、収穫直前に鳥に食べられてしまった。本当に犬骨折って鷹の餌食だ。」
「犬骨折って鷹の餌食」の類義語 – 徒労と横取り
努力が無駄になることや、他人の成果を横取りする様子を示す言葉です。
- 骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ):苦労しても利益がなく、疲れただけであること。
- 徒労に終わる(とろうにおわる):努力や苦労が、何の役にも立たずに終わること。
- 人の褌で相撲を取る(ひとのふんどしですもうをとる):他人のものを利用して、自分の利益を図ること。
- 漁夫の利(ぎょふのり):第三者が争いの間に苦労なく利益を横取りすること。
- ハイエナ:(比喩的に)他者の成果を横取りする者。
「犬骨折って鷹の餌食」の対義語 – 努力が報われること
苦労や努力が正当に報われる状況を示す言葉です。
- 努力は報われる(どりょくはむくわれる):努力すれば、いつかは良い結果が得られること。
- 蒔かぬ種は生えぬ(まかぬたねははえぬ):努力しなければ成果は得られないこと。
- 自業自得(じごうじとく):自分の行いの結果を自分自身が受けること。
- 労して益あり(ろうしてえきあり):苦労すれば、それに見合う利益があること。
「犬骨折って鷹の餌食」の英語での類似表現
「苦労が報われない」「他人に利益を奪われる」というニュアンスに近い英語表現です。
- One beats the bush, and another catches the bird.
意味:一人が茂みを叩き、別の者が鳥を捕まえる(苦労した人と利益を得る人が別)。 - to do all the work and get none of the credit
意味:全ての仕事をして、全く評価を得られない。 - Someone else reaps the benefits of one’s hard work.
意味:他人が自分の懸命な労働の恩恵を享受する。 - Jackal
意味:ジャッカル。(比喩的に)他人の獲物や手柄を横取りする人。
まとめ – 努力が報われない不条理さ
「犬骨折って鷹の餌食」は、苦労して得たものが他人に奪われる、不条理でやるせない状況を動物の世界にたとえたことわざです。
努力が報われなかった悔しさや、弱い者が強い者に搾取される理不尽さを表します。
この言葉には、努力を踏みにじられた不満や、横取りした相手への非難が含まれることが多いです。
そのため、使う場面や相手によっては恨み言のように聞こえる可能性もあり、配慮が必要な言葉と言えるでしょう。
コメント