「魚心あれば水心」の意味・語源・由来
意味
相手が好意を示せば、自分も相手に好意を持つようになる、という意味のことわざです。
魚が水と親しもうとする気持ちがあれば、水もそれに応えるように、相手の気持ち次第でこちらの対応も変わるということを表しています。
主に人間関係、特に男女関係について用いられることが多いですが、広く人と人との相互関係全般について用いられることもあります。
相手の出方次第でこちらの態度が決まる、という少し打算的な意味合いを含む場合もあります。
語源・由来
このことわざの直接的な出典は不明ですが、古くから日本で使われてきた表現です。
魚と水という、切っても切れない関係にあるものを例えに使うことで、人と人との関係性、特に相手の気持ちによって自分の気持ちも変わるという心の機微を巧みに表現しています。
「魚心」は魚の気持ち、「水心」は水の気持ちを擬人化した表現です。
人と人との関係が、相互の気持ちによって変化することを、自然界の現象に例えた、含蓄のあることわざと言えるでしょう。
「魚心あれば水心」の使い方(例文)
- 「彼女が優しくしてくれれば、僕も優しくしようと思う。まさに魚心あれば水心だよ。」
- 「営業の基本は、魚心あれば水心だ。お客様が心を開いてくだされば、こちらも誠意をもって対応する。」
- 「隣人との関係は、魚心あれば水心。こちらから挨拶すれば、相手も挨拶を返してくれる。」
- 「夫婦円満の秘訣は、魚心あれば水心。互いに思いやりを持って接することが大切だ。」
- 「A国が友好の姿勢を示してくれれば、我が国も関係改善に努めるだろう。魚心あれば水心というものだ。」
注意! 間違った使い方
- 「魚心あれば水心作戦で必ず契約を勝ち取るぞ」(✕ 間違った使い方)
※このことわざは、相手の出方次第でこちらの態度が決まるという意味であり、相手を積極的に動かす策略を表す言葉ではないため、使い方が間違っています。
「魚心あれば水心」の類義語
- 向こうがその気なら、こっちにも考えがある:相手の出方次第で、こちらの対応も変わるということ。
- 相手次第:相手の出方や態度によって、こちらの対応や結果が変わること。
- お互い様:双方とも同じような状況、立場であること。
- 人と為りは、互いなり: 人と人との関係は、相互に作用しあうものであること。
「魚心あれば水心」の対義語
明確な対義語はありませんが、反対の意味を表す言葉としては、以下のようなものが挙げられます。
- 一方通行:相手に気持ちが伝わらないこと。
- 片思い:相手を思うだけで、その気持ちが通じないこと。
- 独り相撲:自分だけが熱心で、相手が応じてくれないこと。
使用上の注意点
「魚心あれば水心」は、相手の気持ち次第でこちらの対応が変わる、というやや受け身なニュアンスを含むことがあります。
そのため、積極的な行動や、相手の気持ちに関わらず一貫した態度を取るべき場面では、このことわざを使うのは不適切です。
「魚心あれば水心」の英語表現
If you have a fish-mind, I will have a water-mind.
意味:ことわざを直訳した表現ですが、英語圏では一般的ではありません。
If you scratch my back, I’ll scratch yours.
直訳:あなたが私の背中を掻いてくれれば、私もあなたの背中を掻く。
意味:互いに助け合う、協力し合う関係を表す慣用句です。
You be nice to me, and I’ll be nice to you.
意味:あなたが私に優しくしてくれれば、私もあなたに優しくします。
例文:
I believe in the saying, ‘You be nice to me, and I’ll be nice to you.’
(「あなたが私に優しくしてくれれば、私もあなたに優しくします」という言葉を信じています。)
まとめ
「魚心あれば水心」は、相手の気持ち次第でこちらの態度も変わる、という意味のことわざです。
主に人間関係、特に恋愛関係で使われることが多いですが、ビジネスシーンや国際関係など、幅広い場面で応用できる表現です。
ただし、受け身なニュアンスも含むため、使う場面には注意が必要です。
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