悪事千里を走る

ことわざ
悪事千里を走る(あくじせんりをはしる)

10文字の言葉」から始まる言葉
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「悪事千里を走る」の意味・語源・由来

意味

「悪事千里を走る」とは、悪い行いや噂は、あっという間に遠くまで広まってしまう、という意味のことわざです。
「千里」は非常に長い距離のたとえであり、実際にはるか遠方まで届く可能性を示唆しています。
インターネットやSNSが発達した現代では、まさにこのことわざの通り、情報伝達の速度は昔に比べると格段に速くなっています。

語源・由来

このことわざの正確な起源は不明ですが、中国の古典に由来するとも言われています。
「千里」という言葉は、古くから長い距離を表す際に用いられてきました。
例えば、「赤兎馬(せきとば)」は、三国志に登場する名馬で、一日に千里を走ると言われています。
昔の人々にとっても、悪い噂は、まるで名馬が駆け抜けるように、瞬く間に広がる恐ろしいものだったのでしょう。
良い行いはなかなか広まらないのに、悪い噂はすぐに広まってしまう、という人間の心理や社会の性質を鋭く突いたことわざです。

「千里」ってどれくらいの距離?

「里」という単位は、時代や国によって異なりますが、日本で一般的に使われる「里」は、約3.9kmです。
つまり、「千里」は約3,900kmとなります。
これは、日本列島の北端(北海道・宗谷岬)から南端(沖縄県・波照間島)までの距離が約3000kmですから、「千里」は、それをはるかに超える、とてつもない距離を表していることがわかります。

「悪事千里を走る」の使い方(例文)

  • 「彼の不正行為はすぐに会社中に知れ渡った。まさに悪事千里を走るだ。」
  • 「SNSでの炎上はあっという間に拡散する。悪事千里を走るとはこのことだね。」
  • 「隠し事はできないものだ。悪事千里を走るというからね。」
  • 悪事千里を走ると言うし、軽率な行動は慎むべきだ。」
  • A「あの政治家のスキャンダル、すごい勢いで広まってるね。」
    B「悪事千里を走るって言うからね。隠し通せると思ったのかな。」

「悪事千里を走る」の類義語・関連表現

類義語(ことわざ・慣用句)

  • 好事門を出でず悪事千里を行く:良い行いはなかなか世間に知られないが、悪い行いはすぐに広まる、という意味。
  • 隠すより現る:隠そうとすればするほど、かえって人に知られてしまう、という意味。
  • 壁に耳あり障子に目あり:どこで誰が見聞きしているかわからないから、秘密は漏れやすい、という意味。

関連する概念・心理

このことわざは、「噂の伝播」や「社会的制裁」と深く結びついています。以下の言葉も関連性が高いです。

  • 情報拡散:「口コミ」「炎上」「風評被害」
  • 評判:「悪評」「汚名」「不名誉」
  • モラル:「倫理観」「道徳」「良心」

「悪事千里を走る」の類義語

  • 悪い噂はすぐに広まる:悪い噂はすぐに広範囲に伝わるという意味です

「悪事千里を走る」の対義語

  • 好事門を出でず(こうじもんをいでず):良い行いはなかなか世間に知られない、という意味。
  • 善行はなかなか広まらない:善い行いは、悪い行いほどには広まりにくいという、ある意味対照的な表現。

使用上の注意点

「悪事千里を走る」は、悪い行いを戒める意味合いが強いことわざです。
しかし、情報が瞬時に拡散する現代においては、デマや誤った情報にも注意が必要です。
「悪事」と決めつける前に、情報の真偽を見極める慎重さも求められます。

「悪事千里を走る」に類似した英語表現

Bad news travels fast.

直訳:悪い知らせは速く伝わる。
意味:悪い噂はすぐに広まる。

例文:
I heard about his resignation already. Bad news travels fast, doesn’t it?
(彼の辞任のことはもう聞きました。悪い知らせはすぐに広まりますね。)

Ill news travels apace.

意味:悪いニュースはすぐに伝わる。

例文:
Ill news travels apace, I heard about it all around the office.
(悪い知らせはすぐに広まるもので、オフィス中でその話を聞きました。)

まとめ

「悪事千里を走る」は、悪い行いや噂が、あっという間に広範囲に伝わってしまうことを表すことわざです。
特に、SNSが普及し、情報伝達の速度が格段に上がった現代においては、この傾向はさらに顕著になっています。

このことわざを教訓として、日頃から言動には十分注意し、軽率な行動は慎むことが大切です。
どこで誰が見聞きしているか分からない、という意識を持ち、誠実な行動を心がけましょう。

このことわざは、悪い情報だけでなく、良い情報も広める努力をすることの重要性を示唆しているとも解釈できます。

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