意味・教訓
「便りの無いのは良い便り」とは、人から連絡がない時、それは何も変わったことがなく無事に過ごしている証拠だと考えることわざです。
便りがないことを心配するのではなく、むしろ平穏無事であることの表れだと前向きに捉える考え方を示しています。
語源・由来
このことわざの正確な起源は不明ですが、江戸時代にはすでに使われていたようです。
通信手段が限られていた時代、遠方にいる家族や友人の安否を知るには、手紙が主な手段でした。
悪い知らせはすぐに伝わるものの、良い知らせはわざわざ手紙に書かないことも多かったため、「便りがない=悪いことが起きていない」と解釈されるようになったと考えられます。
使用される場面と例文
「便りの無いのは良い便り」は、遠くにいる家族や友人の安否を気遣う場面や、連絡が途絶えている相手を心配する場面で使われます。
例文
- 「息子からしばらく連絡がないけど、便りの無いのは良い便と言うから、きっと元気にやっているんだろう。」
- 「海外赴任中の友人からメールが来ないけど、便りの無いのは良い便りだと思って、あまり心配しないようにしている。」
- 「あのプロジェクト、その後どうなったか連絡がないな。まあ、便りの無いのは良い便りって言うし、順調に進んでいるんだろう。」
- 「卒業してから同窓会の案内が全く来ない。便りのないのは良い便りと思っておこう。」
類義語
- 無沙汰は無事の知らせ(ぶさたはぶじのしらせ):音沙汰がないのは、無事に暮らしている知らせである。
- 無音は吉報(むおんはきっぽう):便りがないのは良い知らせである。
英語表現(類似の表現)
- No news is good news.
意味:便りがないのは良い知らせ。 - Not to hear is to hear well.
直訳:聞かないことは、良いことを聞くことである。
意味:便りがないのは良い知らせ。
使用上の注意点
このことわざは、あくまで「便りがないこと」を前向きに解釈する考え方を示すものであり、必ずしも相手が本当に無事であるとは限りません。
特に現代では、通信手段が発達しているため、長期間連絡がない場合は、何らかの事情がある可能性も考慮する必要があります。
安易にこのことわざを鵜呑みにせず、状況に応じて適切な対応を取ることが大切です。
まとめ
「便りの無いのは良い便り」は、連絡がないことを心配するのではなく、無事に過ごしている証拠だと前向きに捉えることわざです。
遠くにいる大切な人の安否を気遣う、日本的な思いやりが込められた言葉と言えるでしょう。
しかし、現代においては、通信手段が発達しているため、このことわざを文字通りに受け取るのではなく、状況に応じて相手の状況を心配することも必要です。
連絡がないことを肯定的に捉えつつも、時には積極的に連絡を取ってみることも大切かもしれません。
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