意味
「提灯に釣鐘」とは、全く釣り合いが取れていないこと、不調和なことのたとえです。
軽くて小さな提灯と、重くて大きな釣鐘では、大きさも重さも比較にならないほど違うことから、この言葉が生まれました。
語源・由来
提灯は、竹や木などで作られた枠に紙を貼り、中にろうそくを灯して使う照明器具です。
一方、釣鐘は、寺院などで時を知らせるために撞(つ)かれる、金属製の大きな鐘です。
この二つは、形状、用途、素材など、あらゆる点で対照的です。
この対比から、「提灯に釣鐘」は、不釣り合いなもののたとえとして使われるようになりました。
具体的な初出は不明ですが、江戸時代には広く使われていたと考えられています。
使用される場面と例文
「提灯に釣鐘」は、主に次のような場面で使われます。
- 身分や地位、能力などが大きく異なる人と比較する場合。
- 物の大きさや重さ、価値などが極端に違うものを比較する場合。
- 全体的なバランスが取れていない状態を表す場合。
例文
- 「あのベテラン社員と新入社員の実力差は、提灯に釣鐘だよ。」
- 「彼の豪邸と私の小さなアパートを比べるなんて、提灯に釣鐘だ。」
- 「今回の企画、予算と内容が提灯に釣鐘で、実現は難しいだろう。」
- 「彼女のファッションセンスは、いつもどこか提灯に釣鐘な感じがする。」
注意点
「提灯に釣鐘」は、比較対象の間に大きな差があることを強調する表現です。
そのため、人に対して使う場合は、相手を侮辱したり、劣等感を抱かせたりする可能性があるので、注意が必要です。
類義語
- 月とすっぽん:月もスッポンも、どちらも丸い形をしていますが、美しさや価値が全く違うことから、比較にならないほどかけ離れていることのたとえです。
- 雲泥の差:雲と泥のように、非常に大きな差があること。
- 雪と墨:雪の白さと墨の黒さのように、対照的なもののたとえ。
- 桁違い:程度や価値、数量などが比較にならないほど大きく違うこと。
- 段違い:比較にならないほど差があること。
関連する心理学の概念
- 対比効果:二つのものを比較することで、それぞれの特徴がより際立つ心理現象。
対義語
- 似たり寄ったり:よく似ていて、ほとんど差がないこと。
- 五十歩百歩:少しの違いはあっても、本質的には同じであること。
- 大同小異:細かい点では違いがあるが、大体は同じであること。
- お似合い:釣り合いが取れていること。
- バランスが取れている:調和がとれていること。
英語表現(類似の表現)
- Like comparing apples and oranges.
意味:全く異なるものを比較すること。 - Chalk and cheese.
意味:全く異なるもの、正反対のもの。(イギリス英語) - A mismatch.
意味:不釣り合い、不適合。
まとめ
「提灯に釣鐘」は、軽くて小さな提灯と、重くて大きな釣鐘を対比させることで、全く釣り合いが取れていないこと、不調和なことを表すことわざです。
身分や能力の差、物の価値の差など、さまざまな場面で使われますが、人に対して使う場合は、相手を傷つけないように注意が必要です。
類似の表現としては、「月と鼈」や「雲泥の差」などがあります。
これらの言葉を適切に使い分けることで、表現の幅を広げることができるでしょう。
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