意味
「大同小異」とは、細かい点では違いがあるものの、大体においては同じであること、ほぼ同じで大差がないことを意味する言葉です。
「大同」は大きく見れば同じ、「小異」は小さく見れば異なる、という意味合いです。
肯定的な文脈でも否定的な文脈でも使うことができます。
語源・由来
「大同小異」は、中国の古代思想書『荘子(そうじ)』の「天下篇」に由来する言葉です。
ただし、『荘子』の原文では「小同異」と「大同」が別々に論じられており、直接「大同小異」という言葉が出てくるわけではありません。
「小同異」とは、部分的には異なるが、より大きな視点で見ると同じであること。「大同」は、万物が究極的には一つに帰するという考え方です。
後世、これらの思想をまとめて、「大同小異」という言葉が生まれたと考えられています。
日本には、仏教の伝来とともに伝わったとされています。
『荘子』「天下篇」では、「大同」と「小同異」は以下のように説明されています。
- 万物は、細かく見ればそれぞれ異なる「小同異」であるが、大きく見ればみな同じ「大同」である。
- 「大同」の立場から見れば、万物は全て等価であり、差別はない。
使用される場面と例文
「大同小異」は、主に次のような場面で使われます。
- 複数の案や意見を比較し、本質的な違いがないことを指摘する場合。
- 製品やサービスを比較し、機能や性能に大きな差がないことを説明する場合。
- 過去の事例と現在の状況を比較し、似通っていることを示す場合。
例文
- 「各社の提案は大同小異で、決め手に欠ける。」
- 「新製品の性能は、従来品と大同小異だ。」
- 「今回の事件は、過去の事件と大同小異の手口で行われている。」
- 「Aさんの意見とBさんの意見は大同小異、どちらを採用しても問題ないでしょう。」
注意点
「大同小異」は、細かい違いを無視して、大まかな共通点を強調する表現です。
そのため、細かい違いが重要な意味を持つ場合には、使用を避けるべきです。
例えば、精密な設計図や、厳密な科学的分析などには不向きです。
また、「大同小異」は客観的な評価を表すことも、主観的な評価を表すこともできます。
使う場面や文脈によって、ニュアンスが異なることに注意しましょう。
類義語
- 五十歩百歩:少しの違いはあっても、本質的には同じであること。
- 似たり寄ったり:よく似ていて、ほとんど差がないこと。
- 団栗の背比べ:どれも同じようで、抜きん出たものがないこと。
- どっちもどっち:どちらも同じようなもので、優劣の差がないこと。
- 大差ない:大きな違いがないこと。
- ほとんど同じ:大部分が一致しているさま。
関連する哲学の概念
- 普遍性と特殊性:
普遍性とは、個々の事物を超えて共通する性質のこと。特殊性とは、個々の事物が持つ固有の性質のこと。「大同小異」は、普遍性と特殊性の関係性を表す言葉とも言えます。 - 弁証法(べんしょうほう):
対立する二つの概念を、より高い次元で統一・発展させる思考方法。 「大同」と「小異」を対立する概念と捉え、「大同小異」という言葉で両者を統合する考え方は、弁証法的な思考の一例と言えます。
対義語
- 雲泥の差:非常に大きな差があること。
- 月とすっぽん:比較にならないほどかけ離れていること。
- 提灯に釣鐘:全く釣り合いが取れていないこと、不調和なことのたとえ。
- 天と地ほどの差がある:非常に大きな差があること。
- 天地の開き: 非常に大きな隔たり、比較にならないほどの違いがあること。
- 格段の差:非常に大きな差。
英語表現(類似の表現)
- Six of one and half a dozen of the other.
意味:どちらを選んでも同じ、大差ない。 - Much of a muchness.
意味:ほとんど同じ、大差ない。(イギリス英語) - Tweedledum and Tweedledee.
直訳:トゥィードルダムとトゥィードルディー。
意味:ほとんど違いがないもの。
(ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に登場する双子のキャラクターに由来) - More or less the same
意味:多かれ少なかれ同じ、ほぼ同じ
まとめ
「大同小異」は、細かい点では違いがあるものの、大体においては同じであることを表す言葉です。
複数の案や意見を比較する際や、製品やサービスの性能を説明する際などに使われます。
ただし、細かい違いが重要な意味を持つ場合には、使用を避けるべきでしょう。
類義語には「五十歩百歩」や「似たり寄ったり」、対義語には「雲泥の差」や「月とすっぽん」などがあり、状況に応じて使い分けることで、表現の幅が広がるでしょう。
この言葉を使うことで、物事の共通点と相違点を簡潔に表現することができます。
コメント