意味
「似たり寄ったり」とは、よく似ていて、ほとんど差がないこと、優劣の区別がつかないことを意味する言葉です。
「似たり」も「寄ったり」も、どちらも「似ている」という意味の言葉を重ねて、意味を強調しています。
語源・由来
「似たり」は、動詞「似る」の連用形に、過去の助動詞「たり」が付いたものです。
「寄ったり」は、動詞「寄る」(この場合は「似る」という意味)の連用形に、同じく過去の助動詞「たり」が付いたものです。
同じような意味の言葉を繰り返すことで、意味を強める効果があります。
このような表現方法は、日本語ではよく見られます(例:「長々」「様々」「来る来る」)。
具体的な初出は不明ですが、江戸時代頃から使われていたと考えられています。
使用される場面と例文
「似たり寄ったり」は、主に次のような場面で使われます。
- 複数の人や物の能力、性質、外見などがほとんど同じで、区別がつかない場合。
- 複数の選択肢を比較して、どれを選んでも大差がないと判断する場合。
- 良くない状況や状態が、どれも同じように悪いことを表す場合(この場合は、ややネガティブなニュアンスを含むことが多い)。
例文
- 「兄弟そろって似たり寄ったりの成績だ。」
- 「どのメーカーのテレビも、性能は似たり寄ったりだよ。」
- 「今年の候補者は似たり寄ったりで、誰に投票するか迷う。」
- 「最近の若者は似たり寄ったりの服装をしている。」
注意点
「似たり寄ったり」は、良くも悪くも「ほとんど同じ」というニュアンスで使われます。
そのため、褒め言葉としてはあまり使われません。
また、目上の人に対して使うと、失礼にあたる場合があるので注意が必要です。
類義語
- 五十歩百歩:少しの違いはあっても、本質的には同じであること。
- 大同小異:細かい点では違いがあるが、大体は同じであること。
- 団栗の背比べ:どれも同じようで、抜きん出たものがないこと。
- どっちもどっち:どちらも同じようなもので、優劣の差がないこと。
- 大差ない:大きな違いがないこと。
関連する心理学の概念
- 弁別閾(べんべついき):
心理学の用語で、二つの刺激を区別できる最小の差のこと。「似たり寄ったり」の状態は、弁別閾が非常に小さい、または弁別閾以下の差しかない状態と言えます。
対義語
- 雲泥の差:非常に大きな差があること。
- 月とすっぽん:比較にならないほどかけ離れていること。
- 提灯に釣鐘:全く釣り合いが取れていないこと、不調和なことのたとえ。
- 天と地ほどの差がある:非常に大きな差があること。
- 段違い:比較にならないほど差があること
英語表現(類似の表現)
- Six of one and half a dozen of the other.
意味:どちらを選んでも同じ、大差ない。 - Much of a muchness.
意味:ほとんど同じ、大差ない。(イギリス英語) - Tweedledum and Tweedledee.
直訳:トゥィードルダムとトゥィードルディー。
意味:ほとんど違いがないもの。(ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に登場する双子のキャラクターに由来)
まとめ
「似たり寄ったり」は、よく似ていて、ほとんど差がないこと、優劣の区別がつかないことを表す言葉です。
複数の人や物を比較する際や、選択肢を検討する際などに使われます。
良くも悪くも「ほとんど同じ」というニュアンスで使われるため、褒め言葉としてはあまり使われず、目上の人に対して使う場合は注意が必要です。
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