共存共栄

四字熟語
共存共栄(きょうぞんきょうえい)

10文字の言葉き・ぎ」から始まる言葉
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意味・教訓 – ともに存在し、ともに栄えること

「共存共栄」とは、二つ以上の異なるものが、互いに争うことなく共に存在し、かつ、ともに豊かになり栄えていくことを意味する四字熟語です。

どちらか一方が利益を得るのではなく、関わるすべてのものが、それぞれの個性や立場を保ちながら、互いに良い影響を与え合い、共に発展していくような、理想的な関係性を指します。

この言葉には、平和や調和、そして相互利益を尊重する、という大切な考え方が込められています。
対立ではなく、協力によってより良い未来を築こうとする、前向きで希望に満ちた理念を示しています。

語源・由来 – 「共に存り、共に栄える」

「共存共栄」は、「共存」と「共栄」という二つの言葉が結びついてできた、比較的新しい四字熟語と考えられています。

  • 共存:二つ以上のものが、同時に存在すること。特に、争わずに、同じ場所や社会で生活すること。
  • 共栄:二つ以上のものが、ともに栄えること。一緒に豊かになり、発展すること。

つまり、「異なるものが共に存在し(共存)、そして、共に豊かに栄えていく(共栄)」というのが、この言葉の成り立ちです。
特定の古い物語や出来事に由来するわけではなく、近代以降、社会や国際関係、あるいは自然との関わり方などにおいて、理想的なあり方を示す言葉として使われるようになりました。

使用される場面と例文 – 協力し共に発展する関係に

「共存共栄」は、国際社会における国家間の関係、ビジネスにおける企業間のパートナーシップ、地域社会における異なる文化を持つ人々との関係、あるいは人間と自然環境との関わり方など、非常に幅広い場面で、目指すべき理想的な状態として語られます。

例文

  • 「これからの国際社会は、各国が共存共栄の道を探ることが重要だ。」
  • 「我々は、取引先企業と共存共栄の関係を築くことを目指しています。」
  • 「この地域では、多様な文化を持つ人々が互いを尊重し、共存共栄を図っている。」
  • 「人間社会の発展と、豊かな自然環境の共存共栄は、現代の大きな課題です。」

類義語 – 似た意味を持つ言葉

  • 相互扶助(そうごふじょ):互いに助け合うこと。
    共に栄えるための、協力的な行動や精神を指します。
  • 持ちつ持たれつ:互いに助けたり助けられたりする、相互依存の関係にあること。
    日常会話で使われる、協力関係を表す慣用句です。
  • ウィンウィン(Win-Win):取引や交渉などで、関わる双方ともに利益があること。双方に有利な結果。
    ビジネスシーンなどでよく使われる、相互利益を表すカタカナ語です。

対義語 – 反対の意味を持つ言葉

  • 弱肉強食:弱い者が強い者のえじきになること。強い者が栄え、弱い者が滅びる実力主義の世界。
    ※ 共存とは真逆の、生存競争や淘汰(とうた)の原理を表します。
  • 対立:二つのものが互いに張り合い、譲らないこと。
    ※ 協力や調和とは反対の、争いの状態を示します。
  • 一方的な搾取:片方だけが利益を得て、もう片方から不当に奪い取ること。
    ※ 共に栄える「共栄」とは正反対の、不公平な関係です。

英語での類似表現 – 共に生き、共に栄える

  • coexistence and mutual prosperity
    意味:共存と相互の繁栄。
    「共存共栄」の意味をそのまま表現した、最も直接的な言い方です。
  • live and let live
    直訳:自分も生き、他人も生かせ。
    意味:互いの違いを認め、干渉せずに共存すること。共存の側面に重きを置いた表現です。
  • mutual prosperity
    意味:相互の繁栄。
    「共栄」の部分を指す言葉です。
  • win-win relationship
    意味:双方に利益のある関係。
    ビジネスなどで使われる、「共栄」に近い概念です。
  • symbiosis
    意味:共生(きょうせい)。
    生物学で、異なる種類の生物が密接な関係を保って共に生活する状態を指しますが、比喩的に人間社会の関係にも使われます。

使用上の注意点 – 理想としての意識

「共存共栄」は、多くの場合、目指すべき理想の形として語られます。
現実の世界では、利害の対立や競争があるため、完全な「共存共栄」を実現することは容易ではありません。

しかし、この言葉を目標として掲げることで、対立を避け、協力的な関係を築こうとする意識が高まります。
単なるきれいごととしてではなく、困難な中でも追求すべき価値ある目標として、この言葉を使うことが大切でしょう。
平和で持続可能な社会を築くための、重要なキーワードの一つです。

まとめ

「共存共栄」とは、異なる背景や立場を持つもの同士が、互いを認め合いながら共に存在し、そして互いに利益を得て、ともに豊かになっていくという、理想的な関係性を表す四字熟語です。

争いや一方的な利益追求ではなく、対話と協力によって、関わるすべての人々や社会、さらには自然環境までもが、共に栄えていくことを目指す、希望に満ちた考え方を示しています。

実現は簡単ではないかもしれませんが、この「共存共栄」の精神を心に留めておくことは、より良い未来を築く上で、きっと大切な指針となるでしょう。

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