三日天下

ことわざ 四字熟語 故事成語
三日天下(みっかてんか)

6文字の言葉」から始まる言葉
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「三日天下」の意味 – はかない権勢

「三日天下」とは、非常に短い期間だけ権力や地位を得て、その威勢を振るうことを意味することわざです。
また、その権勢や地位がきわめて短命であり、はかなく終わる様子を指して使われます。

一時的に頂点に立ったものの、あっという間にその座から滑り落ちてしまうような状況を的確に表現した言葉と言えるでしょう。
栄華が長続きしないことのたとえとして用いられることが多いです。

「三日天下」の語源 – 明智光秀の短い栄華

このことわざの最も有力な語源は、戦国時代の武将、明智光秀の故事に由来するとされています。

1582年、光秀は主君である織田信長を本能寺で討ち(本能寺の変)、一時的に天下の実権を握りました。
しかし、そのわずか11日後(13日後とする説もあります)、備中高松城から驚異的な速さで引き返してきた羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)との山崎の戦いで敗れ、逃走中に命を落としたとされています。

この、光秀が天下人であった期間があまりにも短かったことから、「三日天下」という言葉が生まれたと言われています。
実際に権力を握っていたのは十数日ですが、「三日」は実数ではなく、「ごく短い期間」を表す慣用的な表現として使われています。
三日坊主」などの「三日」と同じような用法ですね。

「三日天下」の使用場面と例文 – 短命に終わる成功

「三日天下」は、歴史上の出来事だけでなく、現代社会における様々な場面で、短期間で終わった成功や権勢、流行などを指して使われます。
少し皮肉や揶揄(やゆ)のニュアンスを込めて使われることもあります。

  • ビジネスで一時的に成功したが、すぐに業績が悪化した会社。
  • 選挙で当選したが、すぐに失脚してしまった政治家。
  • スポーツで一時的にトップに立ったが、すぐに成績が振るわなくなった選手。
  • 一世を風靡したが、あっという間に廃れてしまった流行。

例文

  • 「鳴り物入りで発売された新商品だったが、売れたのは最初だけで、まさに三日天下に終わった。」
  • 「彼は部長に昇進したものの、三日天下で子会社へ出向させられてしまった。」
  • 「あのチームの首位も三日天下だったね。すぐに大型連敗してしまった。」
  • 「一時期、誰もが口にしていたあの流行語も、今では聞かなくなり、三日天下だったなと感じる。」

「三日天下」の類義語 – 束の間の輝き

「三日天下」と似たような、物事のはかなさや短命さを表す言葉があります。

  • 束の間の栄華(つかのまのえいが):ほんの短い間の、華やかで勢いのある状態。三日天下とほぼ同じような状況で使われます。
  • 線香花火(せんこうはなび):最初は勢いよく燃え上がるが、すぐにはかなく消えてしまう線香花火にたとえ、長続きしないことの比喩として使われます。特に、人気や勢いが一時的なものである場合に用いられます。
  • はかない夢:実現したかのように見えて、すぐに消えてしまう夢のように、実現しない、あるいは長続きしない物事のたとえ。
  • 一炊の夢(いっすいのゆめ):人生の栄枯盛衰は、粟(あわ)を炊く間のわずかな時間に見る夢のようにはかないものである、という故事から。人生のはかなさ全般を指す言葉です。
  • 邯鄲の夢(かんたんのゆめ):一炊の夢と同様、人生の栄華のはかなさをたとえた言葉。

「三日天下」の対義語 – 長く続くもの

「三日天下」の「きわめて短い期間」という点に着目すると、以下のような言葉が対照的と言えるでしょう。

  • 恒久(こうきゅう):限りなく長く続くこと。状態が変わらずに続くさま。「恒久平和」のように使われます。
  • 永続(えいぞく):長く続くこと。特に、組織や制度などが存続することを指す場合が多いです。
  • 千代に八千代に(ちよにやちよに):非常に長い年月。永遠に近い期間を表す祝福の言葉としても使われます(日本の国歌「君が代」にも見られます)。
  • 長期政権(ちょうきせいけん):政治において、長い期間にわたって政権が維持されること。「三日天下」とは対照的な状況です。

「三日天下」の英語での類似表現 – A Brief Moment of Glory

英語で「三日天下」のニュアンスを表現するには、いくつかの言い方が考えられます。

  • a short-lived reign
    意味:短命な統治、短い支配期間。文字通り「短い天下」に近い表現です。
  • a brief moment of glory
    意味:束の間の栄光、短い輝きの時。成功や名声が一時的であったことを示します。
  • a fleeting power
    意味:はかない権力、束の間の権勢。すぐに失われる力を指します。
  • a flash in the pan
    直訳:フライパンの中の閃光。
    意味:一時的な成功、すぐに消える人気。最初は華々しいが長続きしないことのたとえで、日本語の「線香花火」に近いニュアンスです。

「三日天下」を使う上での注意点

「三日天下」は、短い期間で終わった権勢や成功を指す便利な言葉ですが、使う場面によっては注意が必要です。
特に、当事者に対して使う場合、その人の努力や成果を軽んじている、あるいは失敗を揶揄していると受け取られかねません。

例えば、事業に失敗した人や、短期間で役職を解かれた人などに対して直接「三日天下だったね」と言うのは、相手を傷つける可能性があります。
客観的な事実として描写する場合や、歴史上の出来事、あるいは自分自身の経験を語る場合などに用いるのが適切でしょう。
言葉の持つニュアンスを理解し、相手への配慮を忘れずに使うことが大切です。

まとめ – 三日天下が教えるもの

「三日天下」ということわざは、明智光秀の故事に由来し、きわめて短い間の権勢や成功のはかなさを教えてくれます。
この言葉は、歴史上の出来事だけでなく、私たちの身の回りで起こる様々な事象にも当てはまります。
一時的な成功に酔いしれることの危うさや、栄枯盛衰(えいこせいすい)という世の習いを端的に示していると言えるでしょう。

私たちは、成功や栄華が永遠に続くものではないことを、この言葉から学ぶことができます。
それは決して悲観的な意味だけではなく、むしろ、物事の移り変わりを受け入れ、謙虚な気持ちで今ある状況に向き合うことの大切さを示唆しているのかもしれません。
「三日天下」という言葉の響きには、どこか物悲しさと共に、人生や世の中の真理の一端が込められているように感じられます。

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