相撲界の文化・しきたりを表す言葉
相撲界独特の用語や、その文化から生まれた言葉。(五十音順)
- 角番(かどばん):
大関が前の場所で負け越した場合、その場所(次の本場所)で再び負け越すと関脇に陥落してしまう、という非常に厳しい状況のこと。まさに正念場。 - 可愛がり(かわいがり):
相撲部屋で、師匠や兄弟子が特定の力士を熱心に、そして厳しく指導し、集中的に稽古をつけること。(注:近年、この言葉が過度なしごきやいじめ、パワーハラスメントの隠語として使われたことが問題視され、そのあり方が問われています。) - 稽古(けいこ):
相撲の練習のこと。特に早朝に行われる「朝稽古」は、厳しい鍛錬の代名詞とされています。 - 心技体(しんぎたい):
精神力(心)、技術(技)、体力(体)の三つの要素を合わせた言葉。相撲をはじめ、武道やスポーツの世界で、強くなるためにバランスよく鍛えるべき大切な要素とされています。 - ごっつぁんです:
相撲界で使われる独特の感謝の言葉。「ごちそうさまです」が変化したものとされ、食事をご馳走になった時や、祝儀などを受け取った時などに使われます。 - 三役(さんやく):
大関・関脇・小結の三つの地位の総称。横綱を含まない番付上位の力士を指すことが多いです。 - 三役揃い踏み(さんやくそろいぶみ):
本場所の終盤、結びの三番の取組の前に、東西それぞれの三役力士(大関・関脇・小結)が土俵上に登場し、四股を踏む儀式のこと。 - 立合い(たちあい):
相撲の取組の始まりの瞬間。両力士が仕切り線に手をついた状態から、呼吸を合わせて同時に立ち上がり、ぶつかり合うこと。 - ちゃんこ鍋(ちゃんこなべ):
相撲部屋で作られ、力士たちが日常的に食べる鍋料理のこと。様々な具材が入り栄養豊富なことで知られ、相撲文化を象徴する食事の一つです。 - 綱取り(つなとり):
大関の地位にある力士が、相撲界最高の地位である横綱への昇進を目指すこと、またその場所のこと。 - 取り直し(とりなおし):
相撲の取組で、勝負の判定が非常に微妙な場合や、両力士がほぼ同時に倒れた場合などに、行司または審判の判断で、その取組を無効として、もう一度最初からやり直すこと。 - 勝ち越し(かちこし):
相撲の本場所(通常15日間)の全取組を通じて、勝ち星の数が負け星の数を上回ること。力士の番付(地位)を上げるための基本的な条件となります。 - 番付(ばんづけ):
大相撲における力士の順位・地位を示した一覧表のこと。転じて、様々な分野での人気や実力などのランキングや序列を指す言葉としても使われます。 - 変化(へんか):
相撲の立ち合いで、相手が真っ直ぐぶつかってくるのを予想し、体を左右に開いたり、後ろに引いたりして相手の攻撃をかわす戦法のこと。奇襲の一つとされます。 - 負け越し(まけこし):
相撲の本場所(通常15日間)の全取組を通じて、負け星の数が勝ち星の数を上回ること。番付(地位)が下がる主な要因となります。 - 物言い(ものいい):
相撲の取組において、行司が下した勝敗の判定に対して、土俵下の勝負審判から異議が唱えられること。これにより審判団による協議が行われます。 - 呼び戻し(よびもどし):
一度現役を引退して年寄(親方)になった元力士が、特別な事情により、再び現役力士として土俵に復帰すること、またはそのための制度。
(※現在はこの制度は廃止されています。)
まとめ – 日常語に息づく角界の言葉
相撲の世界から生まれた、あるいは関連する言葉は、勝負の厳しさ、一瞬の駆け引き、力士たちの精神性、そして独特の文化やしきたりを色濃く映し出しています。
私たちが日常で何気なく使っている言葉の中にも、そのルーツをたどれば国技・相撲に行き着くものが少なくありません。
土俵上の熱戦だけでなく、こうした言葉の世界を探ることで、相撲の持つ奥深さや面白さを再発見できるかもしれませんね。
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