「恋は盲目」の意味・語源・由来
意味
恋は盲目とは、恋をすると、理性や常識を失い、周りが見えなくなる、という意味のことわざです。
相手の欠点や短所が見えなくなったり、周りの意見や忠告に耳を貸さなくなったりする状態を表しています。
恋をすると、脳内ではドーパミンなどの神経伝達物質が活発に分泌されます。
これらの物質は、快感や興奮をもたらし、判断力を鈍らせることがあります。
「恋は盲目」は、こうした恋の生理的な作用を、比喩的に表現した言葉とも言えるでしょう。
語源・由来
「恋は盲目」は、英語のことわざ Love is blind.
の翻訳です。
この言葉は、シェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』(1596年ごろ)や、『ヘンリー五世』などにも登場します。
シェイクスピア以前にも、同様の表現は古代ギリシャの時代から存在していたと言われています。
プラトンの著作にも、恋をすると相手の欠点が見えなくなる、という趣旨の記述があります。
日本には、明治時代以降に、西洋の文化とともに Love is blind.
が伝わり、「恋は盲目」と訳されて、広く使われるようになりました。
「恋は盲目」の使い方(例文)
- 彼は彼女に夢中で、彼女の欠点に全く気づいていない。まさに、恋は盲目、だ。
- 彼女は、恋人に騙されているのに、全く疑おうとしない。恋は盲目というけれど、少し心配だ。
- 恋は盲目と言うから、周りの意見も冷静に聞くように心がけよう。
- 「恋は盲目」というけれど、相手の良いところも悪いところも、きちんと見極めることが大切だ。
注意! 間違った使い方
このことわざは、基本的には誤用されにくいですが、「恋をすれば何でも許される」という意味ではないことに注意しましょう。
- 恋は盲目だから、何をしても許される。
(相手に迷惑をかける行為は許されない)
「恋は盲目」の文学作品などの用例
シェイクスピアの作品以外にも、恋をテーマにした文学作品は数多く、「恋は盲目」の概念に通じる描写はたくさんあります。
- 『ロミオとジュリエット』:
周りから反対されても、お互いへの愛を貫きます。 - 『源氏物語』:
光源氏の数々の恋愛遍歴は、理性を失った恋の姿を描いているとも言えます。
「恋は盲目」の類義語
- 惚れた病に薬なし(ほれたやまいにくすりなし):恋の病は、どんな薬も効かないほど、治すのが難しい。
- 痘痕も靨(あばたもえくぼ):惚れてしまうと、欠点さえも魅力的に見えること。
- のぼせている:恋に夢中になっている状態。
「恋は盲目」の対義語
このことわざに明確な対義語はありません。 「恋に冷静であること」や、「理性的に判断すること」を表す言葉が、対照的な意味合いを持つと言えるでしょう。
- 理性:感情に左右されず、物事を冷静に判断する能力。
- 分別:物事の道理をわきまえること。
- 客観的:自分の感情や主観を交えずに、物事を見ること。
使用上の注意点
「恋は盲目」は、恋の持つ強い力を表すことわざですが、盲目的な恋は、時に自分や相手を傷つけることもあります。 このことわざを理解しつつも、冷静な判断力を失わないように心がけることが大切です。
「恋は盲目」の英語表現
Love is blind.
恋は盲目。(直訳)
シェイクスピアの戯曲にも登場する、有名な表現です。
例文:
She doesn’t see his faults at all. Love is blind.
(彼女は彼の欠点に全く気づいていない。恋は盲目だね。)
Love is blind, and lovers cannot see the pretty follies that themselves commit.
恋は盲目であり、恋人たちは自分たちが犯す可愛らしい愚行が見えない。(シェイクスピア『ヴェニスの商人』より)
Love sees no faults.
愛は欠点を見ない。 「恋は盲目」と似た意味の表現です。
まとめ
「恋は盲目」は、恋をすると理性や常識を失い、周りが見えなくなる、という意味のことわざです。
恋の持つ強い力を表す言葉として、広く使われています。
このことわざを理解しつつも、冷静な判断力を保ち、健全な恋愛を心がけたいものです。
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