「親の心子知らず」の意味・語源・由来
意味
親が子を思う深い愛情や心遣いを、子はなかなか理解できない、理解しようとしない、という意味のことわざです。親は子のために良かれと思って様々なことをしますが、子はそれをありがた迷惑だと感じたり、反発したりすることがあります。
この言葉は、親子の間の感情のすれ違いや、コミュニケーションの難しさを表しています。
語源・由来
このことわざの由来は、室町時代の軍記物語『義経記』に登場する武蔵坊弁慶の言葉とされています。
弁慶が源義経に対し、「子供は親の心を理解しないことから、人の心を理解するのは難しい」と述べたことが、この言葉の起源とされています。
また、江戸時代の書物『譬喩尽(たとえづくし)』(1754年)にも登場しています。
「親の心子知らず」の使い方(例文)
- 「子供のためにと思って厳しくしつけたら、反抗されてしまった。まさに親の心子知らずだ。」
- 「進路について口出しすると、娘にうるさがられる。親の心子知らずとはよく言ったものだ。」
- 「親の心子知らずと言うけれど、いつか子供も親の気持ちを理解してくれると信じている。」
- 「息子は一人暮らしを始めて、初めて親のありがたみが分かったようだ。親の心子知らずだったと反省している。」
「親の心子知らず」の類義語
- 親思う心にまさる親心:子が親を思う気持ちよりも、親が子を思う気持ちの方が深い。
- 可愛い子には旅をさせよ:子を本当に可愛く思うなら、甘やかさずにつらい経験もさせるべき。
「親の心子知らず」の対義語
- 孝行のしたい時分に親はなし:親孝行をしようと思った時には、すでに親が亡くなっていてできない。
使用上の注意点
このことわざは、親の立場から、子供が自分の気持ちを理解してくれないという嘆きや不満を表す際に使われることが多いです。
しかし、親の愛情が一方通行になっている、あるいは過干渉になっている可能性を示唆する場合もあります。
子供の立場から使うこともできますが、親への不満を直接的に表現することになるため、注意が必要です。
お子様がお読みになっている場合は、このことわざをきっかけにご家族で話し合ってみるのも良いかもしれません。
「親の心子知らず」に類似した英語表現
No one knows what parents feel until they become parents themselves.
意味:親になって初めて親の気持ちがわかる。
例文:
No one knows what parents feel until they become parents themselves.
(親にならないと親の気持ちは分からない。)
Children don’t understand their parents’ love.
意味:子供は親の愛を理解しない。
例文:
Children don’t understand their parents’ love until they become parents themselves.
(子供は、自分が親になって初めて親の愛を理解する。)
まとめ
「親の心子知らず」は、親が子を思う深い愛情や心遣いが、子にはなかなか伝わらないという、親子の間の感情のすれ違いを表すことわざです。
親の立場からも子の立場からも使うことができますが、使う場面や相手には注意が必要です。
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