鵜のまねをする烏

ことわざ
鵜のまねをする烏(うのまねをするからす)

10文字の言葉」から始まる言葉
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「鵜のまねをする烏」の意味・語源・由来

意味

自分の能力をわきまえずに、むやみに他人のまねをして失敗することのたとえです。
鵜は水に潜って巧みに魚を捕らえますが、烏にはそのような能力はありません。
それにもかかわらず、鵜のまねをして水に飛び込めば、溺れてしまうのは当然のことです。
このことから、身の程知らずな行動を戒める意味合いで使われます。

語源・由来:

鵜飼いをヒントにして生まれたことわざです。
鵜飼いは、鵜匠が鵜を操って鮎などの魚を捕らえる伝統的な漁法です。
鵜は水中に潜り魚を捕まえる能力に長けています。
一方、烏は水に潜ることは得意ではありません。
鵜の漁の様子を見た烏が、自分も同じように魚を捕れると勘違いし、鵜のまねをして水に入り、溺れてしまった様子からこのことわざが生まれました。

「鵜のまねをする烏」の使い方(例文)

  • 「プログラミングの知識がないのに、経験豊富なエンジニアのまねをして、難しいプロジェクトに手を出したが、鵜のまねをする烏になってしまった。」
  • 「彼女は、歌が上手な友人のまねをしてカラオケ大会に出場したが、鵜のまねをする烏となり、惨敗してしまった。」
  • 「新入社員が、いきなりベテラン社員と同じように仕事ができると思って、鵜のまねをする烏にならないように注意が必要だ。」
  • 「流行しているからといって、よく理解もせずに投資に手を出すのは、鵜のまねをする烏になるリスクがある。」
  • 「基礎練習を怠り、いきなり上級者のテクニックを真似しようとしても、鵜のまねをする烏になるだけだ。」

注意! 間違った使い方

  • 「彼は鵜のまねをする烏のように、上手にプレゼンテーションをこなした。」

※鵜のまねをする烏は、失敗することを意味するので、成功した場合には使いません。上記は誤用です。

「鵜のまねをする烏」の文学作品などの用例

室町時代初期の武将であり歌人でもある今川了俊(いまがわ りょうしゅん)の歌論書『落書露顕(らくしょろけん)』に以下の記述があります。

「鵜のまねをする烏が磯(いそ)の波に溺れ死んだり、猿が木から落ちて腰を打ち、その苦しみに泣く。それなのに、人々はなぜそれを見て嘲笑するのか。」

(※現代語訳)

「鵜のまねをする烏」の類義語

  • 猿が木から落ちる:その道に長じた者でも、時には失敗することがあるということ。
  • 河童の川流れ:その道の達人でも失敗することがあることのたとえ。
  • 弘法にも筆の誤り:その道の達人・名人でも、時には失敗することがあるということ。
  • 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる:下手なことでも、数をこなせば、たまには成功することがあるということ。
    (※「鵜のまねをする烏」とは少しニュアンスが異なります。)

「鵜のまねをする烏」の対義語

  • 能ある鷹は爪を隠す: 実力のある者は、それをむやみにひけらかさないことのたとえ。

使用上の注意点

「鵜のまねをする烏」は、主に戒めのことわざとして使われます。
他人を批判したり、嘲笑したりする際に使うこともできますが、相手を不快にさせる可能性があるので、使い方には注意が必要です。
自分自身を戒める際にも使うことができます。

「鵜のまねをする烏」の英語表現

To try to ape one’s betters.

直訳:自分より優れた人を真似ようとする。
意味:鵜のまねをする烏

例文:
He tried to ape his betters, but he just ended up drowning like a crow trying to imitate a cormorant.
(彼は自分より優れた人を真似ようとしたが、鵜のまねをする烏のように溺れてしまった。)

A crow is no raven.

直訳:カラスはワタリガラスではない。
意味:能力のないものは、優れたものの真似はできない。

例文:
You shouldn’t try and copy him. A crow is no raven.
(あなたは彼を真似すべきではありません。鵜のまねをする烏、ですよ。)

まとめ

「鵜のまねをする烏」は、自分の能力をわきまえずに、他人のまねをして失敗することを意味することわざです。
身の程を知り、自分に合った方法で物事に取り組むことの大切さを教えてくれます。
このことわざを教訓に、無謀な挑戦は避け、着実に実力をつける努力をしましょう。

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