子は鎹

ことわざ
子は鎹(こはかすがい)

6文字の言葉こ・ご」から始まる言葉
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意味・教訓

「子は鎹」とは、子供は夫婦の仲をつなぎとめる鎹(かすがい)のような存在である、という意味のことわざです。

鎹とは、木材と木材をつなぎ合わせるために打ち込む、コの字型の釘のこと。
夫婦の間に不和が生じても、子供への愛情が二人を結びつけ、家庭を維持する力となることを表しています。

また、子供がいることで夫婦の絆がより強くなることを意味する場合もあります。
しかし、この言葉には、子どもの存在が夫婦関係を良くも悪くも左右するという含みもあります。

材木に打たれた鎹
材木に打たれた鎹(かすがい)

語源・由来

「子は鎹」の正確な初出は不明ですが、江戸時代には広く使われていたようです。
「かすがい」は、建築や家具などに使われる、二つの部材をつなぎとめるための重要な部品です。
夫婦関係も、家を建てるのと同じように、時には壊れそうになることがあります。
しかし、子供という「かすがい」があることで、夫婦は互いを支え合い、困難を乗り越えていくことができる、という考えから生まれたことわざと考えられます。

一方で、江戸時代は家制度が重視され、夫婦関係よりも家を存続させることが優先されることもありました。
「子は鎹」には、家を維持するために夫婦が子を利用する、あるいは子によって縛られるという側面も含まれていた可能性があります。

使用される場面と例文

「子は鎹」は、主に以下のような場面で使用されます。

  • 夫婦喧嘩をした後、子供の存在によって仲直りした時。
  • 離婚を考えた夫婦が、子供のために思いとどまった時。
  • 子供が生まれたことで、夫婦の絆が深まったと感じた時。
  • 子育ての大変さを共有する中で、夫婦の協力関係が強まった時。
  • 夫婦関係がうまくいっていない状況で、子どもの存在だけが唯一のつながりとなっていることを示す場合。

例文

  • 「夫婦喧嘩ばかりしていたけれど、子供の寝顔を見ていると、この子のために頑張ろうと思える。子は鎹とはよく言ったものだ。」
  • 「離婚も考えたけれど、子は鎹という言葉を思い出し、思いとどまった。」
  • 子は鎹と言うから、子供が生まれたら夫婦仲も良くなるかと思ったけれど、現実は育児で大変だ。」
    (皮肉や否定的な意味合いで使われる例)
  • 子は鎹。子供が生まれてから、夫との会話も増え、以前より仲良くなった気がする。」
  • 「あの夫婦は、もはや子どものためだけに一緒にいるようなものだ。まさに子は鎹だな。」
    (夫婦関係が冷え切っている状況)

類義語

  • 子は三界の首枷(こはさんがいのくびかせ):
    子供は、三界(過去・現在・未来)にわたって親を縛り付ける首枷のようなものである、という意味のことわざ。
    (子は親の自由を奪う存在であるという側面を強調した表現)
  • 愛は小出しにせよ(あいはこだしにせよ):
    夫婦間の愛情表現は少しずつ行うべき。最初から全てを与えてしまうと後が続かない。
    (夫婦関係の維持について、異なる側面からの教訓)

関連語

  • 夫婦喧嘩は犬も食わぬ(ふうふげんかはいぬもくわぬ):夫婦喧嘩はつまらないもので、すぐに仲直りするのだから、他人が仲裁に入る必要はないということわざ。
  • 糟糠の妻(そうこうのつま): 貧しい時から連れ添い、苦労を共にしてきた妻のこと。

対義語

  • ことわざとして明確に対になるものはありませんが、「子は鎹」が夫婦関係を良好に保つ要素としての子供を指すのに対し、結婚は人生の墓場などの言葉は、結婚や子供を持つことが、個人の自由を奪うという側面を強調する表現として、対照的な考え方を示していると言えます。
    (結婚に対するネガティブな考え)

英語表現(類似の表現)

  • Children are the cement of a marriage.
    直訳:子供は結婚のセメントである。
    意味:子供が夫婦を結びつける。
  • A child is a bond between a husband and wife.
    意味:子供は夫と妻の間の絆である。
  • Children are the glue that holds a marriage together.
    意味:子供は結婚生活を繋ぎ止める接着剤である。

使用上の注意点

「子は鎹」は、必ずしもすべての夫婦に当てはまるわけではありません。
子供がいることで、かえって夫婦関係が悪化するケースもあります。
また、子供を夫婦関係を維持するための道具のように扱うべきではない、という考え方もあります。
このことわざを使う際には、夫婦の関係性や状況を考慮し、慎重に言葉を選ぶ必要があります。

特に、現代では「子は鎹」という考え方が、子どもを親の所有物のように見なしたり、夫婦間の問題を子どもに押し付けたりする危険性も指摘されています。
このことわざを用いる際は、その点を十分に理解し、配慮することが重要です。

まとめ

「子は鎹」は、子供が夫婦の絆を強める存在であることを表すことわざです。
子供への愛情が、夫婦間の問題を乗り越える力となり、家庭を円満に導くことを教えてくれます。
しかし、子供は夫婦関係を維持するための道具ではなく、一人の独立した人格を持つ存在です。
このことわざは、子供の存在の大きさを認識しつつも、夫婦それぞれの努力も大切であることを示唆していると言えるでしょう。

そして、この言葉が持つ肯定的な側面だけでなく、子どもを「かすがい」として利用してしまう可能性や、現代社会における価値観とのずれについても理解しておく必要があります。

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