当意即妙

四字熟語
当意即妙(とういそくみょう)

8文字の言葉と・ど」から始まる言葉
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意味・教訓 – その場に合った、機転の利いた対応

「当意即妙」とは、その場の状況や相手の意向(当意)にぴったりと合った、即座の(即)、機転の利いた素晴らしい(妙)言動や対応ができることを指す四字熟語です。

予期せぬ質問や状況に対して、少しも慌てず、ユーモアや知性を感じさせる、的確で気の利いた切り返しができる…。
そんな、頭の回転の速さや、優れた応用力、場の空気を読む能力を表します。

この言葉は、コミュニケーション能力の高さや、臨機応変な対応ができる賢さに対する、称賛の気持ちを込めて使われます。

語源・由来 – その意に当たり、即座に妙なる

「当意即妙」は、「当意」と「即妙」という二つの要素から成り立っています。

  • 当意:「意」はその場の状況、相手の意向、話の内容などを指します。「当」は「当たる」「ぴったり合う」。つまり、その場の状況や意図にうまく適合すること。
  • 即妙:「即」は「即座に」「すぐに」。「妙」は、人間では思いもよらないほど優れていること、絶妙であること、巧みであること。つまり、間を置かずに、機転の利いた素晴らしい対応をすること。

これらを合わせて、「その場の状況や意図にぴったりと合った(当意)、即座の機転の利いた素晴らしい(即妙)対応」という意味になります。
元々は、禅宗などで、師匠の問いに対して弟子が即座に核心を突いた答えを返すような、鋭い応答を指したとも言われています。

使用される場面と例文 – 機知に富んだ受け答えや対応に

「当意即妙」は、会話での気の利いた返答、質疑応答でのうまい切り返し、予期せぬトラブルへの機転の利いた対処、あるいはスピーチやプレゼンテーションでの巧みなアドリブなど、その場に応じた素早く賢い対応が見られた場面で使われます。
知性やユーモアのセンスを称賛する文脈で用いられることが多いです。

例文

  • 「彼の当意即妙な受け答えに、インタビュアーも思わず笑ってしまった。」
  • 「彼女は、どんな質問にも当意即妙に答えることができる、非常に頭の回転が速い人だ。」
  • 「予期せぬアクシデントにも、彼は当意即妙な機転で場を収めた。」
  • 「あの司会者の当意即妙なアドリブは、いつも会場を沸かせる。」

類義語 – 似た意味を持つ言葉

  • 機転が利く(きてんがきく):その場に応じた、気の利いた対応や判断ができること。とっさの才知が働くこと。
    「当意即妙」と非常に意味が近く、臨機応変な賢さを指します。
  • 臨機応変(りんきおうへん):その時々の状況の変化に対応して、適切な手段をとること。
    状況への「適応力」に重きが置かれます。「当意即妙」は、それに加えて「機知」や「巧妙さ」のニュアンスも含まれます。
  • ウィットに富む(ウィットにとむ):機知や気の利いたユーモアがたくさんあること。
    会話などでの、知的で面白い表現力を指します。
  • 気の利いた(きのきいた):その場の状況や相手の気持ちをうまく察して、適切で心地よい言動をするさま。
    機転や配慮が感じられる様子を表します。

対義語 – 反対の意味を持つ言葉

  • 凡庸な答え(ぼんようなこたえ):ありふれていて、特に優れたところのない返答。
    ※ 機知や巧妙さがない、平凡な応答です。
  • 気の利かない:その場の状況や相手の気持ちを察することができず、適切な言動がとれないさま。鈍感なさま。
    ※ 「当意即妙」とは逆の、機転や配慮のなさ。
  • 頓珍漢(とんちんかん):言動がちぐはぐで、つじつまが合わないさま。見当違いであるさま。
    ※ 的確さとは正反対の、的外れな応答や行動。
  • (返答に)窮する(きゅうする):問い詰められたり、適切な答えが見つからなかったりして、返答に困ること。
    ※ 即座に対応できず、言葉に詰まる状態。

英語での類似表現 – 機知に富んだ即応性

  • ready wit / quick wit
    意味:とっさの機転、素早い機知。
    すぐに気の利いた、あるいは面白いことを言える能力。「当意即妙」の機知の側面に近いです。
  • quick-witted
    意味:頭の回転が速い、機転が利く。
    「当意即妙」な性質を持つ人を表す形容詞です。
  • repartee
    意味:(特に機知に富んだ)当意即妙な応答、うまい切り返し、応酬。
    会話における、素早く気の利いた言葉のやり取りを指します。
  • ad-lib
    意味:即興で(セリフなどを)言うこと、アドリブ。
    準備なしに、その場で機転を利かせて対応すること。

使用上の注意点 – 知性と機転への称賛

「当意即妙」は、人の知性や機転、ユーモアのセンスなどを高く評価する際の、非常に肯定的な言葉です。
単に反応が速いだけでなく、その内容が「妙」であること、つまり、巧みで、面白く、そしてその場にふさわしい、という点が重要です。

人を褒める際に、その人の頭の良さやコミュニケーション能力の高さを具体的に表現したい時に、効果的に使うことができるでしょう。
この言葉で評されるような対応は、多くの人が憧れる、洗練されたスキルの一つかもしれません。

まとめ

「当意即妙」とは、その場の状況や相手の意図を瞬時に理解し、即座に、機知に富んだ、そして実に巧みで適切な対応ができることを称える四字熟語です。

それは、まるで鮮やかな言葉のキャッチボールのようであり、予期せぬ状況をスマートに乗りこなす知的な身のこなしとも言えます。

この言葉は、単なる知識の豊富さだけではない、柔軟な思考力、鋭い観察眼、そして豊かなユーモアのセンスが組み合わさって初めて可能になる、高度なコミュニケーション能力の素晴らしさを教えてくれます。
そんな対応ができる人に、私たちは魅力を感じるのかもしれませんね。

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