正々堂々

四字熟語 故事成語
正々堂々(せいせいどうどう)
異形:正正堂堂

8文字の言葉せ・ぜ」から始まる言葉
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意味・教訓 – やり方が正しく、立派であること

「正々堂々」とは、態度や手段が正しく、少しの不正もなく立派であるさまを表す四字熟語です。

卑怯な手段や、こそこそとした策略を用いず、真正面から物事に取り組む、公明正大な態度を指します。
スポーツの試合、議論、競争などにおいて、ルールを守り、ズルをせず、自身の力や主張で勝負する、清々しく立派なあり方を示します。

この言葉は、フェアプレイの精神や、人とし堂々としていることの価値を教えてくれます。

語源・由来 – 陣立てが整い、威風堂々たる様

「正々堂々」の語源は、古代中国の兵法書『孫子』に見られる記述にあるとされています。

  • 正々(せいせい):「正」は整っていること、正規であること。ここでは、軍隊の陣立て(陣形)が整然としている様子、または、定石通りの正攻法を指すと考えられます。
  • 堂々(どうどう):「堂」は立派な建物、公の場などを意味し、それが重なることで、威厳があって立派なさま、威風堂々とした様子を表します。

『孫子』では、整然とした陣立て(正々の旗)と、威風堂々とした陣容(堂々の陣)で敵に相対することが、戦いの基本(正法)であると説かれています。
これは、奇襲や策略(奇法)を用いる場合とは対照的な、正面からの戦い方です。

この、陣容が整い、威風堂々として、真正面から敵に対峙する様子から転じて、「態度や手段が正しく、公明正大で立派であること」を「正々堂々」と表現するようになりました。

使用される場面と例文 – 公明正大な態度や方法に

「正々堂々」は、スポーツでルールに則って最後まで戦い抜く姿勢、ビジネスで不正を行わず誠実に競争する態度、議論で感情的にならず論理的に主張する様子など、後ろ暗さがなく、公明正大で立派なやり方や態度を称賛したり、そのような姿勢を求めたりする場面で使われます。

例文

  • 「結果はどうあれ、正々堂々と戦ったことに誇りを持ちたい。」
  • 「彼はどんな相手に対しても、常に正々堂々とした態度で臨む。」
  • 「裏工作などはせず、正々堂々と実力で勝負しよう。」
  • 「我々は、正々堂々たる方法で市場の信頼を得ていきます。」

類義語 – 似た意味を持つ言葉

  • 公明正大(こうめいせいだい):隠し立てがなく、公平で、良心に恥じるところなく正しいこと。
    「正々堂々」と非常に意味が近く、特に公平さや、やましさがない点を強調します。
  • 真正面から:ごまかしたり避けたりせず、直接的に物事に向き合うさま。
    「正々堂々」の持つ、逃げも隠れもしない、直接的な態度を表します。
  • フェアプレイ(Fair Play):規則を守り、正々堂々と試合や競争をすること。
    スポーツの世界を中心に使われる、公平な精神や行動を指す言葉です。

対義語 – 反対の意味を持つ言葉

  • 卑怯(ひきょう):正々堂々としておらず、ずるく、臆病(おくびょう)であること。
    ※ 正しさや潔(いさぎよ)さがない、不正なやり方や態度。
  • 姑息(こそく):その場しのぎの、間に合わせであること。また、卑怯であること。
    ※ 正々堂々とした根本的な解決ではなく、一時的なごまかしや、ずるい手段を指すことが多いです。
  • 裏工作(うらこうさく):表立ってではなく、陰で目的達成のために活動すること。不正な手段を用いる場合が多いです。
    ※ 公然としない、隠れたやり方。
  • 奇策(きさく):相手の意表を突くような、普通ではない、巧妙な策略。
    ※ 『孫子』の文脈では、「正々堂々」とした正攻法(正)に対する、意表を突く方法(奇)を指します。必ずしも悪い意味だけではありませんが、正攻法とは対照的です。

英語での類似表現 – 公平かつ正々堂々と

  • fair and square
    意味:公正に、正々堂々と。
    不正やごまかしがないことを強調する、非常によく使われる表現です。
  • open and aboveboard
    意味:公然と、隠し立てなく、正直に。
    態度や行動がオープンで、裏がないことを表します。
  • fairly and honorably
    意味:公平に、そして名誉あるやり方で。
    公正さと共に、品位や名誉を重んじる態度を示します。
  • play by the rules
    意味:規則に従って行動する、正々堂々とやる。
    決められたルールを守ることを強調します。

使用上の注意点 – 正しさ・立派さへの評価

「正々堂々」は、そのやり方や態度が、道義的に正しく、立派であることを高く評価する、肯定的な言葉です。
卑怯な手を嫌い、潔さを重んじる価値観を表しています。

使う際には、その清々しさ、立派さを称える気持ちを込めて用いるのが一般的です。
時には、厳しい競争社会において、常に「正々堂々」とすることが有利とは限らない、という現実もありますが、この言葉自体が持つ、道徳的な正しさや美しさの価値は揺るぎません。

まとめ

「正々堂々」とは、まるで整然とした軍隊が威風も堂々と進むように、やり方や態度がどこから見ても正しく、立派である様子を表す四字熟語です。

卑怯な手段や隠し事をせず、真正面から、自身の持つ力や主張をもって臨む、その清々しく潔い姿勢を示します。

この言葉は、私たちに、困難な状況や競争の中にあっても、正しさや誠実さを失わないことの大切さ、そして、そのような態度が持つ、人としての尊厳や美しさを教えてくれます。
結果だけでなく、そこに至るプロセスにおいても、胸を張れるようなあり方を心がけたいものですね。

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