「鬼の居ぬ間に洗濯」の意味・語源・由来
意味
普段は怖い人、厳格な人、または口うるさい人がいない間に、気兼ねなくのびのびと過ごすことのたとえです。
「鬼」は、恐ろしい存在や威圧的な人を象徴し、「洗濯」は、日頃の緊張から解放されてリラックスしたり、普段は遠慮してできないことをしたりする状態を表します。
語源・由来
このことわざは、昔話や民話に由来すると考えられています。恐ろしい鬼が留守にしている間に、人々が安心して洗濯などの家事を行ったという話が元になっていると言われています。
ここでいう「洗濯」は、単に衣類を洗うという意味だけではありません。
心身を清め、日頃の苦労やストレスから解放される「命の洗濯」というニュアンスも含まれています。
かつての日本では、特に女性は家庭内で夫や姑などに対して常に気を遣いながら生活していたため、まるで鬼のように感じる存在がいない間に、心置きなく休息したり、自由な時間を楽しんだりする喜びを表した言葉として広まったと考えられています。
「鬼の居ぬ間に洗濯」の使い方(例文)
- 「部長が出張でいないので、今日は鬼の居ぬ間に洗濯だ」
- 「親が旅行に出かけたので、子供たちは鬼の居ぬ間に洗濯とばかりに、夜遅くまでゲームをしていた」
- 「先生が席を外したとたん、生徒たちは鬼の居ぬ間に洗濯とばかりにおしゃべりを始めた」
- 「監視の厳しい上司がいない日は、鬼の居ぬ間に洗濯で、リラックスして仕事ができる」
「鬼の居ぬ間に洗濯」の類義語
- 羽を伸ばす: 普段の束縛から解放されて、のびのびと自由に行動する。(解放感)
- 息抜き:仕事や勉強などの合間に、一時的に緊張から解放されて休息する。(一時的な休息)
- 骨休め:普段の労苦から解放され、ゆっくりと休養する。( দীর্ঘ期間の休息)
「鬼の居ぬ間に洗濯」の対義語
- 萎縮:恐れや不安によって、体が縮こまるように元気がなくなる。(怖い人の存在による影響)
- 緊張:心やからだがかたくなること。(怖い人の存在による心身の強張り)
- 自粛:自ら進んで、行いや態度を慎むこと。(怖い人の目を意識した行動制限)
使用上の注意点
「鬼の居ぬ間に洗濯」は、目上の人や普段厳しい人がいない状況で、解放感を覚える状況を表す言葉ですが、使う相手や状況によっては注意が必要です。
例えば、上司が一時的に不在になった際に、周りの人に聞こえるような声で「やっと鬼の居ぬ間に洗濯だ」と言うと、上司の不在を喜んでいるような印象を与えたり、陰口を言っているように聞こえたりして、相手に不快感を与え、失礼にあたる可能性があります。
「鬼の居ぬ間に洗濯」に類似した英語表現
When the cat’s away, the mice will play.
直訳:猫がいないと、ネズミが遊ぶ
意味:怖い人、監督者がいないと、人々は好き勝手をする
例文:
The boss is out of town, so the employees are taking long lunches. When the cat’s away, the mice will play.
(上司が出張中なので、従業員は昼休みを長く取っている。まさに「猫がいないとネズミが遊ぶ」だ。)
While the cat is away, the mice play.
上記の「When the cat’s away, the mice will play.」とほぼ同じ意味合いで使われます。
まとめ
「鬼の居ぬ間に洗濯」は、普段怖い人や口うるさい人がいない間に、のびのびと羽を伸ばすことのたとえです。
日常会話でもよく使われる表現であり、「猫がいないとネズミが遊ぶ」という英語のことわざも類似した意味を持っています。
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