つい自分の都合ばかり考えてしまったり、周りの状況が見えなくなってしまったり…。
誰にでもあるかもしれない「自分勝手」な心。
しかし、そうした振る舞いは、時として人間関係を損ねたり、周りに迷惑をかけたりしてしまいます。
古くから、ことわざや四字熟語には、そんな自分勝手な様子や、それを戒める言葉が数多く伝えられています。
この記事では、そうした言葉を集めてご紹介します。
自分勝手な様子を表す【四字熟語】
他者をあまり顧みず、自分のことを中心に考えてしまうような態度や振る舞いを表す四字熟語です。
- 我田引水(がでんいんすい):
自分の田に水を引くように、物事を自己都合で解釈・行動する様。 - 唯我独尊(ゆいがどくそん):
この世で自分だけが尊いと考えうぬぼれる、独りよがりな態度。
但し、仏教では「誰もが尊い存在である」とする教えのこと。 - 傍若無人(ぼうじゃくぶじん):
まるで周囲に人がいないかのような、他者を気にしない自分勝手な振る舞い。 - 厚顔無恥(こうがんむち):
厚かましく恥を知らないこと。自分の行動を省みることのない図々しさ。 - 自己中心(じこちゅうしん):
物事を自分の立場や利益で考え、他者をあまり顧みない思考。 - 自分本位(じぶんほんい):
何事も自分を中心に考えること。自己中心と似た意味合いの、自分中心の考えや行動。 - 得手勝手(えてかって):
自分の都合の良いようにばかり振る舞うこと。身勝手と同義の、自己都合優先の振る舞い。 - 利己主義(りこしゅぎ):
自分の利益だけを中心に考える態度や思想。エゴイズムと同義。 - 私利私欲(しりしよく):
公共の利益や他者を考えず、自分の利益や欲望のみを追い求める姿勢。 - 独断専行(どくだんせんこう):
他人に相談なく、自分一人の判断だけで物事を決定し実行すること。 - 恣意専横(しいせんおう):
自分勝手な考えに基づき、権力を行使し、横暴に振る舞うこと。
自分勝手な行動・考え方を表す【ことわざ】
自分勝手な行動や考え方を、教訓や皮肉を込めて言い表すことわざです。
- 亭主の好きな赤烏帽子(ていしゅのすきなあかえぼし):
主人の好みは、たとえ風変わりでも周囲が従うことになる状況のたとえ。理不尽さへの皮肉を含む場合も。 - 後は野となれ山となれ(あとはのとなれやまとなれ):
当面のことさえ済めば、その後の結果はどうなっても構わないという無責任な態度。 - 人のふんどしで相撲を取る(ひとのふんどしですもうをとる):
他人の物や立場を利用して、自分の利益や目的を達成する、ずる賢い行為。 - 恩を仇で返す(おんをあだでかえす):
恩恵を受けた相手に、感謝するどころか逆に害を与える、信義にもとる行為。
自分勝手な行動・考え方を表す【慣用句】
身勝手な要求や無責任な態度、人の意見を聞かない様子などを言い表す、慣用的な表現(決まり文句)です。
- 自分さえ良ければ:
他人はどうなっても構わないという、自分の都合だけを優先する利己的な考え方。 - 身勝手(みがって):
相手の状況を思いやらず、自分の都合だけを考えること、またはその様子。 - 虫がいい(むしがいい):
自分の都合だけを考えた身勝手な要求や、うまい汁だけ吸おうとする態度。 - いいとこ取り(いいとこどり):
物事の良い部分や都合の良い点だけを選び取り、苦労や責任は避ける身勝手さ。 - 好き勝手(すきかって):
他人の迷惑を考えず、自分の思うままに行動する、気ままな振る舞い。 - 勝手気まま(かってきまま):
他人の都合を考慮せず、自分の思い通りに振る舞う様子。自由気ままとは区別されることも。 - お手盛り(おてもり):
自分や身内に都合良く物事を決めること。特に報酬などで公平さを欠く、不適切な決定。 - 御都合主義(ごつごうしゅぎ):
その場の都合に合わせて、主義や主張を簡単に変えること。一貫性のない変わり身の早さ。 - 我が物顔(わがものがお):
あたかも自分の物であるかのように、または自分が一番偉いかのように振る舞う態度や顔つき。 - お山の大将(おやまのたいしょう):
狭い仲間内だけで威張っている人。視野が狭く、独りよがりな様子のたとえ。 - 偉そうにする(えらそうにする):
威張った態度をとること。傲慢で自分勝手な気持ちの表れである尊大な態度。 - 図に乗る(ずにのる):
いい気になってつけあがり、調子に乗ること。思い上がった自分勝手な行動や発言。 - 自分のことは棚に上げる(じぶんのことはたなにあげる):
自分の欠点や過ちには触れず、他人ばかりを非難・忠告する無自覚な態度。 - 手前味噌(てまえみそ):
自分で自分のことを褒める自画自賛。度が過ぎると自分勝手な印象を与えることも。 - 独りよがり(ひとりよがり):
自分だけで良いと思い込み、他人の意見をあまり顧みない自己満足の状態。 - 聞く耳を持たない(きくみみをもたない):
他人の意見や忠告に耳を貸そうとしない、頑固で受け入れない態度。 - 後足で砂をかける(あとあしですなをかける):
世話になった人に対し、去り際に恩を仇で返すような裏切りの仕打ち。 - 足元を見る(あしもとをみる):
相手の弱みや困った状況につけ込み、自分に有利に事を運ぶ利己的な駆け引き。 - 風見鶏(かざみどり):
状況を見て有利な方へすぐに立場を変える、定見のない日和見的な人のたとえ。 - 他力本願(たりきほんがん):
(本来の意味とは別に、誤用として)自分で努力せず、他人任せで良い結果を期待する姿勢。 - 俺が俺が(おれがおれが):
自分ばかりが手柄を立てようとしたり、目立とうとしたりする、自己顕示欲の強い様子。
自分勝手を戒める【ことわざ・故事成語・教訓】
自分勝手な行いを戒めたり、他者への思いやりを促したりする、ことわざ・故事成語・教訓です。
- 人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ):
他人の良くない言動を鏡として、自身の行動を反省し改善すべきという教訓。 - 己の欲せざるところは人に施すこと勿れ(おのれのほっせざるところはひとにほどこすことなかれ):
自分がされたくない行いは、他人に対しても行うべきではないという、『論語』に基づく思いやりの基本原則。 - 鹿を逐う者は山を見ず(しかをおうものはやまをみず):
目先の利益(鹿)に夢中になり、より大きな状況や全体(山)が見えなくなることへの警告のたとえ。 - 木を見て森を見ず(きをみてもりをみず):
細かい部分(木)にこだわり過ぎて、物事全体の本質や大局(森)を見失うことへの戒めのたとえ。 - 井の中の蛙(いのなかのかわず):
広い世界を知らず、狭い知識や経験だけで得意になっている、視野の狭さや独りよがりなうぬぼれのたとえ。 - 無理が通れば道理引っ込む(むりがとおればどうりひっこむ):
正しくないことや横暴な振る舞いが横行すると、正しい道理が行われなくなる社会への警告。 - 李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず):
李(すもも)の木の下で冠を直す仕草は疑いを招くことから、人から疑念を抱かれるような行動は慎むべきという処世術の教え。
まとめ
自分勝手さを表す言葉は、時に耳が痛いものですが、それらは自分自身の行動を客観的に見つめ直す良い鏡となります。
「人のふり見て我がふり直せ」というように、これらの言葉を反面教師として心に留め、周りの人々への思いやりや協調性を大切にしていきたいですね。
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