飼い犬に手を噛まれる

ことわざ
飼い犬に手を噛まれる(かいいぬにてをかまれる)

11文字の言葉か・が」から始まる言葉
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「飼い犬に手を噛まれる」の意味・語源・由来

意味

日頃から目をかけ、可愛がり、面倒を見てきた部下や身内の者などから、思いがけず裏切られたり、危害を加えられたりすることのたとえです。
信頼していた相手から害を受けることは、精神的なダメージも大きく、予想外の痛手を負うことを意味しています。
恩を仇で返される、といった状況で使われます。

語源・由来:

文字通り、普段飼っている犬に、突然、手を噛まれる様子を表しています。
犬は本来、主人に忠実な動物と考えられていますが、そんな飼い犬でさえ、何かの拍子に飼い主を攻撃することがあるという事実を示しています。
このことから、どんなに信頼している相手であっても、100%安心することはできず、裏切られる可能性があるという教訓を表すようになりました。

「飼い犬に手を噛まれる」の使い方(例文)

  • 「長年信頼してきた部下に裏切られ、会社の大事な情報をライバル社に漏洩されてしまった。まさに飼い犬に手を噛まれる思いだ。」
  • 「あれだけ目をかけて育ててきた弟子が、独立した途端に、私の顧客を奪っていった。飼い犬に手を噛まれた気分だよ。」
  • 「親友だと思っていた人に、自分の秘密を暴露されてしまった。飼い犬に手を噛まれるとは、このことだ。」
  • 「資金援助までして支えてきたのに、彼は私を裏切った。飼い犬に手を噛まれるとは、まさにこのことだ。」

注意! 間違った使い方

  • 「期待していた新人が、思ったほど活躍してくれない。飼い犬に手を噛まれた気分だ。」(誤用)

このことわざは、「裏切り」や「危害」といった、明確なネガティブな行為に対して使うのが適切です。
単に期待外れだった、という程度の状況で使うと、大げさな表現に聞こえてしまうので注意が必要です。

「飼い犬に手を噛まれる」の文学作品などの用例

夏目漱石の小説『道草』で以下のように使用されています。

(引用)「いくら遣(や)っても際限がない。のみならず今じゃ飼犬に手を噛まれる始末だ。」

「飼い犬に手を噛まれる」の類義語

  • 恩を仇で返す:受けた恩に対して、感謝するどころか害を与えること。
  • 煮え湯を飲まされる:信頼していた人に裏切られ、ひどい目に遭わされること。
  • 後足で砂をかける:世話になった人に、去り際に迷惑や損害を与えること。
  • 寝首を掻かれる:油断している隙に、信頼している人に裏切られること。

「飼い犬に手を噛まれる」の対義語

  • 犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ: 犬はわずか三日飼われただけでも、その三年間は恩を忘れない。
    ※しかし、これはあくまで犬の忠誠心を強調したことわざであり、「飼い犬に手を噛まれる」の直接的な対義語としては弱いかもしれません。

使用上の注意点

このことわざは、裏切られた側の強い失望感や怒りを表すため、使用する場面や相手には注意が必要です。
軽い気持ちで使うと、相手を不快にさせてしまう可能性があります。

「飼い犬に手を噛まれる」の英語表現

To be bitten by the hand that feeds one.

直訳: 餌を与えてくれる手に噛みつく
意味: 恩を仇で返す、飼い犬に手を噛まれる

例文:
I helped him get a job, but then he stole my clients. I was bitten by the hand that feeds him.
(私は彼が仕事を得るのを手伝ったが、彼は私の顧客を奪った。まさに飼い犬に手を噛まれた。)

To nourish [nurture] a viper in one’s bosom.

直訳:毒蛇をふところ(胸)で育てる。
意味:恩を仇で返す人に親切にして、後でひどい目にあう

例文:
I trusted him completely, but he betrayed me. It was like nurturing a viper in my bosom.
(私は彼を完全に信頼していたのに、裏切られた。毒蛇を懐で育てていたようなものだ)

まとめ

「飼い犬に手を噛まれる」は、信頼していた相手からの裏切りや、予期せぬ危害を表すことわざです。
このことわざは、人間関係における油断の危険性や、裏切りの持つ痛烈さを教えてくれます。
類義語や英語表現も併せて覚えておくことで、より表現の幅を広げることができるでしょう。

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