意味
「濡れ手で粟」とは、苦労せずに利益を得ること、労せずして儲けることのたとえです。
濡れた手で粟をつかむと、粟粒がたくさんくっついてくることから、この表現が生まれました。
楽をして儲けることを少し皮肉ったり、うらやんだりするニュアンスで使われることが多いです。
語源・由来
このことわざは、文字通り、濡れた手で粟を掴む様子から来ています。
乾燥した粟はパラパラとしていますが、濡れた手で触れると、たくさんの粒がくっついてきます。
この様子が、まるで苦労せずに利益を得ているかのように見えることから、「濡れ手で粟」(または「濡れ手に粟」)という表現が生まれました。
具体的な初出は不明ですが、江戸時代にはすでに使われていたと考えられています。
使用される場面と例文
「濡れ手で粟」は、主に以下のような場面で使われます。
- 苦労せずにお金や利益を得た人を見たとき
- 楽をして儲けている人をうらやむとき、または少し皮肉るとき
- 自分自身が、思いがけず楽に利益を得たとき
例文
- 「彼は株で大儲けしたらしい。まさに濡れ手で粟だね。」
- 「あの人は、親の遺産で濡れ手で粟の生活を送っている。」
- 「今回のプロジェクトは、ほとんど何もしないうちに成功した。濡れ手で粟とはこのことだ。」
- 「彼女は、SNSに投稿した写真がバズって、濡れ手で粟のようにフォロワーが増えた。」
注意! 避けるべき使い方
- 「濡れ手で粟のように、努力して成功したい」(✕ 誤用)
※ 「濡れ手で粟」は、努力せずに利益を得ることを意味するため、「努力して成功したい」という文脈では不適切です。
類義語
- 棚からぼた餅(たなからぼたもち):思いがけない幸運が舞い込むこと。
- 鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる):非常に都合の良いこと、おあつらえ向きの状況。
- 一攫千金(いっかくせんきん):一度に大金を手に入れること。
- 漁夫の利(ぎょふのり):第三者が労せずして利益を得ること。
対義語
- 骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ):苦労したのに報われないこと。
- 汗水垂らす(あせみずたらす):一生懸命に働くこと。
- 苦労に苦労を重ねる: 非常な困難な状況を表す。
使用上の注意点
「濡れ手で粟」(「濡れ手に粟」)は、楽をして儲けることを表すため、相手によっては、ねたみや皮肉と受け取られる可能性があります。
使う場面や相手には注意しましょう。
英語表現(類似の表現)
easy money
直訳:簡単なお金
意味:楽に稼げるお金、あぶく銭
例文:
He made easy money by selling his old toys online.
(彼はおもちゃをネットで売って、楽に稼いだ。)
windfall
直訳:風で落ちてきたもの
意味:思いがけない収入、棚ぼた
例文:
She received a windfall from her aunt’s will.
(彼女は叔母の遺言で、思いがけない収入を得た。)
gravy train
直訳:肉汁列車
意味:楽な仕事、高給な仕事
例文:
He’s on the gravy train now that he’s got that government job.
(彼は政府の仕事に就いて、楽な生活をしている。)
まとめ
「濡れ手で粟」(「濡れ手に粟」)は、濡れた手で粟を掴むとたくさんの粒が付くことから、苦労せずに利益を得ることのたとえとして使われます。
楽をして儲けることを表すため、相手によっては、ねたみや皮肉と受け取られる可能性があるので、使用する場面や相手には注意が必要です。
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