意味 – 寂れた様子のたとえ
「閑古鳥が鳴く」とは、お店などにお客さんが少なく、商売がはやらず、ひっそりと静まり返っている様子を表す慣用句です。
活気がなく、寂れている状態を指します。
語源・由来 – カッコウの鳴き声から

この表現の「閑古鳥」とは、鳥の「カッコウ」の別名です。
カッコウは「カッコー、カッコー」と鳴きますが、その鳴き声が単調で、どことなく物寂しく聞こえることから、昔の人々は人気の少ない静かな山里などを連想しました。
「閑」という漢字は、「静かでひっそりしている」という意味を持っています。
この「閑」と、物寂しさを感じさせるカッコウの鳴き声が結びつき、「閑古鳥が鳴く」という言葉が「人がいなくて静かで寂しい様子」、特に「お客さんが来なくて商売が成り立たない寂しい状況」を指すようになったと考えられています。
いつ頃から使われ始めたかはっきりとは分かっていませんが、江戸時代の書物にも見られる表現です。
使用される場面と例文 – 活気のない状況
主に商店や飲食店、興行などにおいて、客足が途絶え、活気がない状態を表すのに使われます。
ビジネスの不振や、人が集まらず寂れた場所の様子などを表現する際にも用いられます。
例文
- 「開店セールが終わったら、途端に客足が減って閑古鳥が鳴いている。」
- 「あの観光地も、数年前の賑わいが嘘のように今は閑古鳥が鳴いているそうだ。」
- 「新しくオープンしたレストランだが、立地が悪いのか閑古鳥が鳴いている。」
類義語・関連語 – 賑わいがない様子を表す言葉
類義語
- 不景気(ふけいき):経済活動が活発でなく、世の中全体の景気が悪い状態。
- 不入り(ふいり):客の入りが悪いこと。特に興行などで使われます。
- 寂れる(さびれる):活気がなくなり、寂しい状態になること。
- 門前雀羅を張る(もんぜんじゃくらをはる):訪れる人もなく、寂れて、門の前には雀が群れて網を張って捕らえられるほどであるということ。
- 商売上がったり(しょうばいあがったり):商売が成り立たず、どうにもならない状態。
関連語
- 過疎(かそ):人口が極端に少ない状態。
- シャッター通り:閉店した店が多く、シャッターが下りたままの商店街。
- 客足が遠のく:客が来なくなること。
対義語 – 活気と賑わいを表す言葉
- 繁盛(はんじょう):商売などが大変栄え、賑わっていること。
- 大入り(おおいり):客がたくさん入ること。特に興行などで使われます。
- 門前市を成す(もんぜんいちをなす):訪れる人が多く、門の前が市場のように賑わっていること。
- 千客万来(せんきゃくばんらい):多くの客が次から次へとやってくること。
- 引っ張りだこ:多くの人から同時に求められ、非常に人気があること。
英語での類似表現 – 静かで客足が遠い様子
英語で「閑古鳥が鳴く」ような状況、つまり「客が少なくて静かだ」「商売がはやっていない」といった意味を表す表現には、以下のようなものがあります。
- Business is slow.
意味:商売がはかばかしくない。景気が悪い。 - Things are quiet.
意味:(店などが)静かだ。客が少ない。 - It’s dead (in here).
意味:(店内などが)まったく活気がない。死んだように静かだ。(口語的な表現) - Tumbleweeds could roll through.
意味:タンブルウィード(西部劇などで風に転がる枯草)が転がっていきそうだ。非常に閑散としている様子を表す比喩的な表現。
使用上の注意点 – 状況を選ぶ表現
「閑古鳥が鳴く」は、やや古風な言い回しと感じる人もいるかもしれません。
また、直接的に「商売がうまくいっていない」「人気がない」という状況を指すため、特に他人の店や事業について話す際には、相手に不快感を与えないよう配慮が必要です。
経営不振などデリケートな話題に触れることになるため、使う相手や状況をよく考えるべきでしょう。
自分の状況について、自虐的に「うちの店は閑古鳥が鳴いちゃって…」のように使うこともあります。
まとめ
「閑古鳥が鳴く」は、商売が振るわず、客足が遠のいて寂しい様子を表す慣用句です。この表現は、鳥の「カッコウ」が別名「閑古鳥」とも呼ばれ、その鳴き声が物寂しく聞こえることに由来しています。
主にビジネスの不振や閑散とした場所の様子を表す際に使われますが、状況によっては相手に配慮が必要な言葉でもあります。活気のない状況を的確に伝える比喩として、適切な場面で活用するとよいでしょう。
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