意味
「蛇の道は蛇」とは、同じ分野の人には、その道のことがすぐにわかるという意味のことわざです。
蛇が通った道は、別の蛇ならすぐに見分けられることに由来しています。
転じて、専門家や同業者であれば、その業界の事情や手法をすぐに理解できるという意味で使われます。
また、悪事や裏事情のことは、同じような立場の人には簡単に見抜かれるという文脈で使われることもあります。
語源・由来
このことわざは、文字通り、蛇の習性に由来します。
蛇は、草むらや地面を這って移動しますが、その痕跡は、他の蛇にはすぐに分かります。
同類であるからこそ、わずかな痕跡や気配から、仲間の行動を察知できるのです。
このことから、「蛇の道は蛇」は、専門家や同業者、あるいは同じような境遇にある者同士が、互いの行動や考えをよく理解できる、という意味で使われるようになりました。
使用される場面と例文
「蛇の道は蛇」は、主に以下のような場面で使われます。
- 専門家が、その道の専門的な事柄をすぐに理解したとき
- 同業者が、互いの仕事ぶりや技術を見抜いたとき
- 悪事を働く者が、仲間の悪事や裏事情を見抜いたとき
例文
- 「さすがベテランの職人だ。ちょっと見ただけで、不良品を見抜いてしまった。蛇の道は蛇というわけだ。」
- 「彼は、私が長年この業界で働いていることを見抜いたようだ。蛇の道は蛇だな。」
- 「警察は、犯人の巧妙な手口をすぐに見破った。蛇の道は蛇というところか。」
- 「あの政治家の裏金疑惑、すぐに他の政治家にもバレるだろう。蛇の道は蛇だからな。」
類義語
- 同病相憐れむ(どうびょうあいあわれむ):同じ病気や悩みを持つ者同士は、互いに同情し合うこと。
- 能ある鷹は爪を隠す: 能力のある者はそれをひけらかさない
- 目糞鼻糞を笑う(めくそはなくそをわらう):自分の欠点に気づかず、他人の欠点をあざ笑うこと。
- 五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ):少しの違いはあっても、本質的には同じであること
対義語
直接的に反対の意味を表すことわざはありません。
使用上の注意点
「蛇の道は蛇」は、良い意味でも悪い意味でも使われます。
使う場面や文脈によって、どちらの意味合いになるのかを判断する必要があります。
英語表現(類似の表現)
Set a thief to catch a thief.
直訳:泥棒を捕まえるには泥棒を使え。
意味:悪事を働く者を捕まえるには、同じような悪人に頼むのが良い。
例文:
To find out who was stealing from the company, they hired a former hacker. Set a thief to catch a thief.
(社内で誰が盗みを働いているのか突き止めるために、彼らは元ハッカーを雇った。泥棒を捕まえるには泥棒を使え、というわけだ。)
It takes one to know one.
直訳:それを見抜くには、同じような者である必要がある。
意味:ある人や物事の性質を見抜くには、自分も同じような経験や知識を持っている必要がある。
例文:
“He’s a really good liar.” “Well, it takes one to know one.”
(「彼は本当に嘘がうまいね。」「まあ、それを見抜くには、自分もそうでなければね。」)
まとめ
「蛇の道は蛇」は、同じ仲間や同業者は、その道のことをよく理解できるという意味のことわざです。
蛇が通った道は、同じ蛇にはすぐに分かる、ということに由来しています。
専門的な知識や技術、あるいは悪事や裏事情など、さまざまな文脈で使われます。
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