意味
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」とは、命がけで物事に当たれば、窮地から脱し、活路を見いだせることもある、という意味です。
すべてを投げうつ覚悟で取り組んでこそ、初めて活路が見いだせる、という教えでもあります。
語源・由来
このことわざは、川の流れに身を任せる様子から生まれたとされています。
「瀬」は川の浅い部分を指し、流れが速く、船が座礁しやすい場所です。
しかし、思い切って身を流れに任せれば、かえって浅瀬を乗り越え、安全な場所に出られることもある、という状況を表しています。
一説には、仏教の「捨身」の思想が影響しているとも言われています。仏教では、煩悩を捨て、悟りを求めるために、自分の命を捧げる「捨身」という修行があります。このことわざには、そのような仏教の思想が背景にあるという説もあります。
正確な初出は不明ですが、古くから使われていることわざです。
使用上の注意点
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」とは、命がけで物事に当たれば、窮地から脱し、活路を見いだせることもある、という意味です。
すべてを投げうつ覚悟で取り組んでこそ、初めて活路が見いだせる、という教えでもあります。
使用される場面と例文
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」は、困難な状況に直面し、覚悟を決めて行動する必要がある場面で使われます。
例文
- 会社の経営が危機に瀕している。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」の精神で、改革に取り組むしかない。
- 受験勉強が思うように進まない。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」だ。死ぬ気で頑張ってみよう。
- 交渉が難航している。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」の覚悟で、最後の説得に臨む。
- 長年温めてきた企画、なかなか承認されない。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」。社長に直談判してみよう。
類義語
■覚悟を決めて全力を尽くす
- 捨て身でかかる:自分の身を顧みず、全力を尽くして物事にあたること。
- 当たって砕けろ:結果を恐れず、思い切ってやってみること。
- 清水の舞台から飛び降りる:思い切って、大きな決断をすること。
- 乾坤一擲(けんこんいってき):運命をかけて、のるかそるかの大勝負をすること。
■絶望的な状況で活路を見出す
- 背水の陣:失敗すれば後がない状況で、決死の覚悟で事に当たること。
- 死中に活を求める:絶望的な状況の中で、活路を見いだそうとすること。
■戦略的に犠牲を払う
- 肉を切らせて骨を断つ:自分も多少の損害を受ける覚悟で、相手にそれ以上の大きな打撃を与えること。
関連する哲学の概念
- 捨身:仏教用語で、自分の身を犠牲にして仏道修行に励むこと。
対義語
類義語とは反対に、危険を避け、安全策を取ることを意味する言葉を挙げます。
■危険を避ける
- 石橋を叩いて渡る:非常に用心深く、安全を確認してから行動すること。
- 君子危うきに近寄らず:賢明な人は、危険なことには最初から近づかない。
■事前に備える
- 転ばぬ先の杖:失敗しないように、前もって用心すること。
英語表現(類似の表現)
- Fortune favors the bold.
直訳:幸運は勇者に味方する。
意味:大胆に行動する人に幸運が訪れる。 - Nothing ventured, nothing gained.
直訳:何も冒険しなければ、何も得られない。
意味:リスクを冒さなければ、成功も得られない。 - Desperate times call for desperate measures.
直訳:絶望的な時は、絶望的な手段を必要とする。
意味:危機的な状況では、思い切った手段が必要である。 - Go for broke.
意味:すべてを賭ける。いちかばちかやってみる。 - Give it one’s all.
意味:全力を尽くす。
まとめ
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」は、困難な状況でも、覚悟を持って事に当たれば、道が開ける可能性があることを示唆することわざです。
すべてを投げ出す覚悟で取り組むことで、初めて見えてくるものがある、という教えでもあります。
しかし、これは無謀な行動を勧めるものではなく、あくまで「覚悟」の重要性を説いたものであることを忘れてはなりません。
困難に直面した時、このことわざを思い出し、自分にとって本当に大切なものは何かを見極め、覚悟を持って最善の道を選択する勇気を持ちたいものです。
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