帯に短し襷に長し

ことわざ
帯に短し襷に長し(おびにみじかしたすきにながし)

14文字の言葉」から始まる言葉
スポンサーリンク

「帯に短し襷に長し」の意味・語源・由来

意味

帯にするには短く、襷(たすき)にするには長いという意味。
中途半端で、どちらの用途にも役に立たないことのたとえ
人や物などが、能力や立場、あるいは物の状態などが中途半端で、何をするにも不十分で使い道がない状況を表します。

語源・由来

着物を着る際に使う「帯」と、着物の袖をまくり上げるために使う「襷(たすき)」を比較した言葉です。

  • 帯:着物の腰に巻いて結ぶ、幅広で長い布。しっかりと結ぶためにはある程度の長さが必要です。
  • 襷:着物の袖をたくし上げるために使う、細長い布や紐。

肩から背中にかけて斜めに結んで袖を固定しますが、長すぎると邪魔になります。
このことわざは、ある布が帯として使うには短すぎ、襷として使うには長すぎる、つまり、どちらの用途にも適さない状態を表しています。ここから転じて、人や物の能力、才能、立場などが中途半端で、何をするにも役に立たない状況を指すようになりました。

このことわざがいつ頃から使われ始めたかは明確ではありませんが、江戸時代の文献には既に見られることから、その頃には広く使われていたと考えられます。

「帯に短し襷に長し」の使い方(例文)

  • 「彼は技術はあるが営業力がない。まさに帯に短し襷に長しで、どの部署に配属しても活躍できない。」
  • 「この資格は、専門職としては不十分だし、事務職としては専門的すぎる。帯に短し襷に長しだな。」
  • 「彼女は才能はあるが、努力が足りない。今のままでは帯に短し襷に長しになってしまう。」
  • 「この土地は、工場を建てるには狭すぎるし、住宅地にするには広すぎる。帯に短し襷に長しだ。」
  • 「この企画は、予算的にも人員的にも帯に短し襷に長しで、実現は難しいだろう。」

注意! 間違った使い方

  • 「彼はもう少しで合格だったのに、帯に短し襷に長しだ」(✕ 誤用)

「帯に短し襷に長し」は、「中途半端で役に立たない」という意味で使われます。
「惜しい」や「もったいない」といったニュアンスで使うのは誤りです。

「帯に短し襷に長し」の使用例

彼女は、器用ではあったが、どれもこれも中途半端であった。絵を描けば、そこそこの腕前、歌を歌えば、人並み以上。
しかし、どれもプロとして通用するほどではない。「帯に短し襷に長し」とは、彼女のためにあるような言葉であった。

「帯に短し襷に長し」の類義語

  • 虻蜂取らず:二つのものを同時に得ようとして、どちらも得られないこと。
  • 二兎を追う者は一兎をも得ず:欲張って二つのことを同時にしようとすると、どちらも失敗する。
  • 中途半端:どっちつかずで、不完全なさま。
  • どっちつかず:どちらともはっきりしないさま。
  • 半端物:役に立たないもの。中途半端なもの。

「帯に短し襷に長し」の対義語

  • 一石二鳥:一つの行為で二つの利益を得ること。
  • 大は小を兼ねる:大きいものは小さいものの代わりにもなる。
  • 適材適所:能力・特性に合った地位・仕事につけること。

使用上の注意点

「帯に短し襷に長し」は、人や物事が中途半端で役に立たない状態を指す言葉であり、やや否定的なニュアンスを含みます。
そのため、使う相手や状況には注意が必要です。
特に、人を評価する際に使う場合は、相手を不快にさせる可能性があるため、慎重に言葉を選ぶ必要があります。

「帯に短し襷に長し」に類似した英語表現

Fall between two stools.

直訳:二つの椅子の間に落ちる
意味:二つの選択肢の間で失敗する、中途半端でどちらつかずになる

例文:
He tried to please both his boss and his clients, but he ended up falling between two stools.
(彼は上司と顧客の両方を喜ばせようとしたが、結局、二兎を追う者は一兎をも得ず、という結果になった。)

Neither fish nor fowl.

直訳:魚でも鳥でもない
意味:どちらともつかない、中途半端なもの

例文:
The new policy is neither fish nor fowl; it doesn’t fully satisfy either side.
(新しい方針は、どちらともつかないもので、どちらの側も完全には満足させていない。)

Jack of all trades, master of none.

直訳:何でも屋だが、何も得意でない
意味:多芸は無芸。いろいろなことができるが、どれも専門家レベルには達していない。
(「器用貧乏」という肯定的な意味合いもある)

例文:
He’s a jack of all trades, master of none, so he’s not really an expert in anything.
(彼はいろいろなことができるが、どれも得意ではないので、何かの専門家というわけではない。)

まとめ

「帯に短し襷に長し」は、中途半端でどちらの用途にも役に立たない人や物事を表すことわざです。
この言葉は、何かを成し遂げるためには、明確な目標を持ち、それに適した能力や資源を持つことの重要性を示唆しています。

コメント