郷に入っては郷に従え

ことわざ
郷に入っては郷に従え(ごうにいってはごうにしたがえ)

14文字の言葉こ・ご」から始まる言葉
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「郷に入っては郷に従え」の意味・語源・由来

意味

郷に入っては郷に従えとは、新しい土地や組織などに入ったら、その土地の風習や組織のルール・やり方に従うべきだという教えのことわざです。

自分の生まれ育った環境や、それまでの経験で培った価値観に固執せず、その場のやり方に順応することの大切さを説いています。

新しい環境に早く溶け込み、円滑な人間関係を築くための処世術とも言えるでしょう。 自分勝手な行動は、周囲の反発を招き、孤立してしまう可能性があるため、周りの状況やルールをよく確認して行動することが重要になります。

語源・由来

このことわざの「郷」とは、村や町、地域社会などを指します。

昔は交通手段が限られていたため、地域ごとに異なる文化や風習が形成されていました。

そのため、他の地域を訪れた際には、その土地の習慣を尊重し、それに従うことが、円滑な人間関係を築く上で重要とされてきました。

このことわざは、そうした異なる文化や風習を持つ地域への敬意と、適応力を重んじる考え方から生まれたと考えられます。

また、現代では、海外に行った際や、新しい会社や組織に入った際に、その土地の文化や組織のルール・決まりごとに従うことが望ましいという文脈でも広く使われています。

「郷に入っては郷に従え」の使い方(例文)

  • 海外旅行に行く際には、「郷に入っては郷に従え」の精神で、現地の文化を尊重することが大切だ。
  • 初めての土地に引っ越してきたのだから、「郷に入っては郷に従え」で、地域のルールを守らなければならない。
  • この村では、昔からの伝統が大切にされている。「郷に入っては郷に従え」で、私たちもそれに従うべきだ。

注意! 間違った使い方

  • 彼は自分の意見を全く曲げず、周囲の反発を買っている。「郷に入っては郷に従え」の典型的な例だ。
    (✕ 誤用)

※「郷に入っては郷に従え」は、その土地のやり方に従うべきだという意味なので、自分の意見を曲げないことは、真逆なので不適切。

「郷に入っては郷に従え」の文学作品などの用例

さればとてわが智に誇り、先非を悔いず、強いて旧習を墨守し、妄りに外国人を軽侮するが如きは、共に大に戒むべきことなり。 諺にも「郷に入っては郷に従え」と云うことあり。 (福沢諭吉「学問のすゝめ」)

「郷に入っては郷に従え」の類義語

  • 長い物には巻かれろ:権力のある人や、多数派の意見には逆らわない方が得策であるということ。
  • 寄らば大樹の陰:力のある人に頼った方が、安心であり、様々な利益が得られるということ。
  • 住めば都:どのような土地でも、住み慣れればそこが一番良い場所と思えるようになるということ。

「郷に入っては郷に従え」の対義語

  • 我を通す(がをとおす):自分の考えや意思を貫き通すこと。
  • 出る杭は打たれる:目立つ存在や、他人と違う意見を持つ人は、周囲から非難されたり、抑圧されたりしやすいということ。

使用上の注意点

「郷に入っては郷に従え」は、新しい環境に順応することの大切さを説いたことわざですが、必ずしも自分の意見を押し殺して、全てにおいて周囲に合わせなければならないという意味ではありません

明らかに間違っていることや、理不尽なルールに対しては、適切な方法で異議を唱えることも必要です。

状況をよく見極め、柔軟に対応することが重要です。

「郷に入っては郷に従え」の英語表現

When in Rome, do as the Romans do.

意味:ローマにいるときは、ローマ人のするようにしなさい。

例文:
I know you’re used to eating dinner late, but when in Rome, do as the Romans do. We usually eat around 6 PM here.
(あなたが夕食を遅くに食べることに慣れているのは知っていますが、郷に入っては郷に従えです。 ここでは、普段は午後6時頃に食べます。)

Follow the customs of the place you are in.

意味:あなたがいる場所の習慣に従いなさい。

例文:
You may not be used to taking off your shoes indoors, but you should follow the customs of the place you are in.
(室内で靴を脱ぐことに慣れていないかもしれませんが、あなたがいる場所の習慣に従うべきです。)

まとめ

「郷に入っては郷に従え」とは、新しい土地や組織などに入ったら、その土地の風習や組織のルール・やり方に従うべきだという教えのことわざです。

新しい環境に早く溶け込み、円滑な人間関係を築くためには、その場のやり方に順応することが大切です。

ただし、全てにおいて周囲に合わせなければならないという意味ではなく、状況をよく見極め、柔軟に対応することが重要です。

このことわざを参考に、新しい環境でも自分らしさを失わずに、周囲と良い関係を築いていきましょう。

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